中部電力 大逆転連覇!美余「1年間の活動の重み感じた」

[ 2012年2月15日 06:00 ]

女子で2連覇を果たし、笑顔を見せる中部電力の選手たち

カーリング日本選手権最終日

(2月14日 青森市スポーツ会館)
 女子決勝は市川美余主将(22)率いる中部電力が大逆転劇を演じ、連覇を達成した。トリノ、バンクーバー両五輪代表・本橋麻里(25)のLS北見に1点をリードされて迎えた最終エンドに3点を挙げ、新女王の貫禄を見せた。ラストショットを決めたスキップ藤沢五月(20)が大会最優秀選手に選ばれた。06年トリノ、10年バンクーバーと五輪連続出場のチーム青森は準決勝でLS北見に敗れ、3位。2年ぶりの覇権奪回はならなかった。

 スピード感たっぷりの藤沢のラストショットにストーンがはじかれ、中部電力の黄色い石が中心から最も近い位置に3個残った。土壇場、5―6から一気に8―6へ。バレンタインデーの氷上に、歓喜の抱擁の輪ができた。公約を果たした市川主将は「連覇の重圧はあったけど、本当の王者ということを証明するために全勝優勝できてよかった」と安どの笑みを浮かべた。

 女王として君臨したチーム青森の中心メンバーだった本橋は、新女王にとってやはり強敵だった。第5エンドでスチール(先行が得点すること)し5―3と優位に進めたが、6エンド目以降に2度スチールをされ、3エンド連続失点。「最近はスチールで負けることが多かったので」とナーバスになった藤沢だが、最後は第9エンドを無得点とし後攻をキープ。最後のエンドに逆転を懸ける冷静さと大胆さが芽生えていた。

 初めて日本代表として活動した今季の苦悩が、チームを成長させていた。2位以内なら世界選手権の出場権を獲得できた昨年11月のパシフィック選手権(中国)は4カ国中最下位。夏、秋の海外遠征で互角に戦った中国、韓国に1勝もできず「代表としての試合がどれだけ重圧で、他の国の顔色がどれだけ変わるか知った」(和田博明監督)ショックに沈んだ。

 その中でチームが選んだのは、徹底した話し合いだった。「落ち込んでいたけど言いたいことを言ってすっきりした」と藤沢。試合最中は藤沢と市川任せだった各ショットのプランに、佐藤、清水も加わって話し合うことが多くなった。どん底で確認したチームの絆。優勝トロフィーを受け取った市川主将は「1年間の活動の重みを感じた」と振り返った。

 中部電力が世界選手権出場を逃したことで、日本がソチ五輪の出場権を獲得するためには、次の世界選手権への出場が最低条件。その予選にあたるパシフィック選手権(今秋予定)に再度挑戦し、リベンジを果たすことが来季の最大目標となる。「男気あふれるチームが目標」とちゃめっ気を見せた市川は「このメンバーでもう一度やれば、もう大丈夫だと思う」とつかんだ自信の大きさをアピールしていた。

 ▼ソチ五輪の出場資格 出場できるのは10カ国。今年3月と来年3月の世界選手権の順位を得点化し、開催国ロシアを除き7位以内に入れば確定。残る2カ国は来年末に予定されている世界最終予選で決まるが、今年か来年いずれかの世界選手権に出場していないと世界最終予選に出場することはできない。なお、世界選手権の出場権はパシフィック選手権の上位2カ国に与えられている。

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