佐藤信人“補欠優勝”なるか?単独首位に浮上

[ 2011年10月16日 06:00 ]

<日本オープン3日目>18番、ティーショットを放つ佐藤信人

男子ゴルフツアー日本オープン第3日

(10月15日 千葉県千葉市・鷹之台カンツリー倶楽部=7061ヤード、パー71)
 9年ぶりの復活優勝を狙う佐藤信人(41=ミズノ)が単独首位に浮上した。出場選手で唯一3日間アンダーパーの68で回り、通算6アンダーとした。2位のネベン・ベーシック(33=オーストラリア)に2打差をつけ、最終日は予選会繰り上がり出場からの優勝という大番狂わせに挑む。石川遼(20=パナソニック)は1バーディー、5ボギーの75とスコアを落とし、通算6オーバーの27位に後退した。
【第3R成績】

 試合に出られずに味わう平穏よりは、試合に出て味わう不安の方がずっといい。それが久しぶりの優勝争いなら、なおさらだ。「滑り込みでこの試合に出られたのもラッキー。この緊張、不安、恐怖は喜ばしいこと」。単独首位に立った佐藤は穏やかな笑みを浮かべて語った。

 日本オープン出場を懸けた8月の最終予選会でカットラインに届かず、一度は出場をあきらめていた。しかし、3週間前のパナソニック・オープンで資格重複者が多数出たため、補欠7番目の佐藤まで繰り下がってきた。そのチャンスを生かしての快進撃。朝、コースに着くとあまりの強風に「中止にならないかな」と弱気になり、3番パー3では左にひっかけた打球が木に当たってパーを拾った。思わぬ幸運に今度は「こんな大舞台でプレーできて良かったな」とほくそ笑んだ。

 入り乱れる感情を全て受け入れると、イップスに苦しんだパットが面白いように決まった。3日間の平均パットは1位。11番で6メートルのパーパットを沈めてガッツポーズを見せると、13番では7メートル、15番は3メートルと「どうやって2パットでいくか考える厳しいライン」と悩んだ急激な下り、フック、スライスを次々に沈めていった。

 96年大会でピーター・テラベイネン(米国)が繰り上げ出場から優勝したことはあるが、73年のツアー制度施行後、日本人では前例のない日本オープン“補欠優勝”のチャンス。3日間続けてアンダーパーと安定感は抜群なだけに大きな期待がかかる。「優勝争いの感覚も忘れて久しいので、自分がどうなるのか見てみたい。ガッチガチで手が動かなくなっても、それはそれでいい」。地元・千葉で迎えた千載一遇の機会。41歳のベテランには、楽しい思いも苦しみも堪能する余裕がある。

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2011年10月16日のニュース