内村37年ぶり床で金!高速回転に“誤審”もドヤ顔

[ 2011年10月16日 06:00 ]

<世界体操 男子個人種目別 床運動決勝>いつもよりひねりを1回多く加えたジャンプを見せる内村

体操世界選手権第9日

(10月15日 東京体育館)
 エースがまた輝いた。種目別決勝が行われ、男子床運動で内村航平(22=コナミ)が15・633点で金メダルを獲得した。日本勢では1974年バルナ大会の笠松茂以来の同種目優勝で、今大会は個人総合と合わせて2冠を達成。あん馬は5位、つり輪は6位に終わったものの、五輪を含めた世界大会でのメダル数を10個の大台に乗せた。また、つり輪では、山室光史(22=コナミ)が15・500点で銅メダルを獲得した。

 驚異の身体能力が、経験豊富な国際審判のミスを誘発した。床運動の演技を終えて得点を見た内村が、納得いかない表情で両手を広げる。技の難度を示す演技価値点(Dスコア)が6・5点。「あれ?」。すぐに森泉コーチが審判に抗議し、続く鄒凱(スウガイ)(中国)の演技後に内村の価値点は本来の6・7点に訂正された。2位から1位に繰り上がって、個人総合との2冠を達成。余裕の表れか、どや顔のエースは“誤審”に理解を示してみせた。

 「(技を)とられてないってことは、それだけひねりが速くて見えてないってことなんで、うれしいですね」

 種目別用の構成で、最初に挑んだのはG難度のリ・ジョンソン(後方抱え込み2回宙返り3回ひねり)。猛烈なスピードで体をひねりながら、着地は少し乱れただけ。並の選手なら、3回ひねれば着地はもっと崩れる――。難度を判定する審判2人が導いた回答は「2回ひねり」だった。森泉コーチも「スピードが凄いんで分からないのかなぁ」と苦笑いを浮かべるしかなった。

 床運動は欲しかったタイトルだ。幼い頃から指導してくれた父・和久さん(51)は、高校総体で同種目優勝。内村も総体で同種目を制し、昨年は世界選手権で銀メダルを獲得した。「まだ父を超えられていないかな。そう思った方が頑張れる」と意欲を燃やしていた種目だが、日本男子では1974年バルナ大会の笠松茂以来37年ぶりの戴冠で、尊敬する“師匠”を超えた。

 最初の種目で金メダルを獲得した勢いで残り2種目でもメダル獲得を目指したが、落下があったあん馬は5位、力技で乱れたつり輪は6位。それでも観衆を沸かせたことに「エンターテイナーとして、自分はここまでできるってアピールしたかった」と胸を張った。16日の平行棒と鉄棒で、自国開催の大舞台は終幕。1大会での“4冠”が実現すれば、日本人最多記録に並ぶ。「点数を気にせず、楽しんでやりたい」。エースが会心のどや顔を見せた時、体操ニッポンに新たな伝説が刻まれる。

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