茂木 ミセス初優勝!3年ぶりツアー5勝目

[ 2011年5月30日 06:00 ]

<ヨネックスレディース最終日>新婚で優勝を決め、夫の大輔さん(左)と抱き合って喜ぶ茂木宏美

女子ゴルフツアー・ヨネックス・レディース最終日

(5月29日 新潟県長岡市・ヨネックスカントリークラブ=6376ヤード、パー72)
 茂木宏美(34=赤城GC)がミセス初優勝を飾った。2打差の4位からこの日のベストスコアとなる70で回り通算5アンダー。最終ホールのバーディーで混戦から頭一つ抜け出し、08年のベルーナ・レディース以来となる3年ぶりのツアー5勝目、昨年10月に元スノーボード選手の窪田大輔さん(29)と結婚してからは初めての勝利を手にした。今季初優勝を狙った横峯さくら(25=エプソン)は74とスコアを落とし、通算2アンダーの5位に終わった。
【最終R】

 最終組の李知姫のバーディーパットが外れて優勝が決まった。1組先にホールアウトしていた茂木は瞳を潤ませながら笑った。スコア提出場の階段を下りて18番グリーンへ。ところが、そこにいるはずのない人が待っていた。夫の大輔さんだった。

 「もし優勝しても恥ずかしいから出てこないでね。クラブハウスの中で2人で喜ぼうね」。昨年10月に結婚した2人は、今までそんな打ち合わせを繰り返してきた。ところが、初めて生で優勝を目撃した大輔さんは大興奮。「何せ近くで見たくて傘も差さずにいました」。茂木は「来ないで、来ないで」と手で拒むしぐさを見せたが、打ち合わせもすっかり台無しの熱い抱擁。カメラのフラッシュとギャラリーの拍手が新婚の2人を包み込んだ。

 ツアーに全て同行する夫は炊事、洗濯、マッサージなど身の回りの世話を全部やってくれる。献身的なサポートに応えようと、茂木も自らを磨き続けてきた。「この3年でどんどん勢いのある選手が出てきて、よっぽど底上げしないといけないという葛藤があった」。30歳をすぎ、若手に対抗するために3年前からトレーニングを始めた。体幹を強化してショットの精度に活路を求めた。18番で5メートルをねじ込んでガッツポーズ。アンダーパーが4人しかいなかった厳しい最終日。終盤全てのホールでチャンスをつくったショットは、積み上げた努力のたまものだった。

 待望のミセス初優勝を成し遂げ、次なる目標にはメジャー制覇を掲げる。「憧れの選手は塩谷育代さん。子供?夫とも漠然と相談はしてるし、願望はある。だからこそ公式戦に勝ちたい」。メジャーに勝っての“子づくり宣言”。そしてママさんプロとして活躍する。茂木にはまだまだ先の長い夢がある。 

 ≪主夫に徹した夫・大輔さんも感激≫夫の大輔さんは「何せうれしかった。最後のバーディーパットは足が震えました」と興奮の面持ちだった。結婚する時に過去の優勝写真やビデオは全て見せられたというが、実際に目にした優勝は格別の様子。元スノーボード選手としての経験を生かし、シーズン中はホテルに炊飯ジャーを持ち込んで五穀米を炊いたり食事面でも力になってきた。「世間がどう思うか分からないけど、うちはこういうスタンス。彼女が選手をしている間は主夫に徹しようと約束しました。公式戦もあるし、彼女の思いが尽きるまで支えていきたい」と今後も精いっぱいのサポートを約束した。

 ◆茂木 宏美(もぎ・ひろみ)1977年(昭52)4月25日、群馬県みどり市生まれ。バドミントンやバレーボールをしていたが、笠懸町(現みどり市)で食堂「鹿の川」を営む父から、桐生女子高3年時にゴルフを勧められ、卒業と同時に静岡・朝霧CCの研修生に。02年のプロテストで合格し、04年6月のリゾートトラスト・レディースで坂口由佳とのプレーオフを制して初優勝。昨年は右手首のケガもあって賞金ランクは26位だった。1メートル59、57キロ。

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