遼くん開幕戦ブチ壊した無法者ギャラリー

[ 2009年1月10日 06:00 ]

7番ティーグランドでギャラリーのカメラに“カシャカシャ”狙われる石川遼

 遼くんの09年初戦が無法者ギャラリーに荒らされた。男子ゴルフのアジアと欧州の団体対抗戦、ザ・ロイヤル・トロフィー第1日は9日、タイ・バンコク郊外チョンブリのアマタ・スプリングCC(パー72)で行われ、石川遼(17=パナソニック)は谷口徹(40=フリー)とのペアでポール・ローリー(40=スコットランド)、ソレン・ハンセン(34=デンマーク)のペアとフォアサム方式で対戦。写真撮影、フェアウエー横断と、何でもありのタイのギャラリーにもリズムを乱され、2&1で敗れた。対抗戦は大会初勝利を狙うアジアが3勝1敗とリードした。

 ここはタイ、ほほ笑みの国。なのに、石川は笑えなかった。あっちこっちでギャラリーの“カメラ攻撃”を受け、次第にほほ笑みは消えていった。タイ初見参の石川見たさに現地の邦人ギャラリーがコースに大集合。石川組には国内ツアーと変わらぬ約2000人が同行し、そのほとんどが日本人だった。ファンクラブ会員の女性もはるばる日本から多数来場。まるで日本にいるかのような光景だったが、そのマナーたるやあまりにひどかった。
 ティーグラウンドやホール間のインターバルなど、どこでもカメラを向けてシャッターが切られた。「日本から応援来たぞー!」と叫ぶ者あり、観戦エリアを区切るロープを越えて平然とコースに入る者あり。石川組と対戦した99年全英オープン覇者のローリーは、携帯電話のシャッター音に序盤からブチ切れていた。
 7番では横断地点でもないグリーン手前のフェアウエーを大観衆が一斉に横断。ギャラリー整理のスタッフも追いつかないほどで、マナーの悪さには石川とペアを組んだ谷口も不満を漏らした。「遼くんの時はみんな写真を撮りまくってて、カメラOKなのかと思った。せっかくいい試合なのに…。もしそういうのが影響して勝てたとしても勝った気がしない」とぼやき、石川も「そうですね」と深くうなずいた。
 タイの在留邦人は約4万5000人。スポンサーや協賛企業に1000枚単位で招待券が配られており、大半の日本人は招待券で観戦に訪れたようだ。石川の出場が決まった途端に1000バーツ(約2600円、タイでの映画観賞券は150バーツ)の前売り券が飛ぶように売れ、“遼くん効果”で7000人以上が来場。例年は1日5000人という観客数を大きく上回った。
 石川がツアー初優勝を飾った直後、一昨年の関東アマでは、同伴競技者に「邪魔だ!」と叫び、「フェアウエーってどこ?」と尋ねる初心者ギャラリーが大量発生した。まだまだゴルフ観戦が珍しいタイでも同じ現象が起こってしまった。
 開幕前には「日本語の応援は安心できると思う」と話していた石川の期待も大きく裏切られた。欧州チームに対して肩身の狭い思いをした上に、自らもストレスを感じ続けていれば好プレーが望めるはずもない。
 いつもの勝負強さも見せられず、13番パー4では1Wを右の池に打ち込むなど、球のつかまりも悪かった。本領を発揮できないまま初日は終了。「きょうは相当に悔しい。あしたはこんなことがないようにしたい」と雪辱を誓ったが、ないようにと願った「こんなこと」は自らのプレーだけではないはずだ…。

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2009年1月10日のニュース