康生氏 篠原ジャパンの特別コーチに

[ 2008年11月1日 06:00 ]

 00年シドニー五輪の柔道男子100キロ級金メダリストで、今年5月に現役を引退した井上康生氏(30=綜合警備保障)が、全日本男子の特別コーチに就任することが31日、明らかになった。指導者の経験がほとんどなく、来年には英国留学を予定している中で、全日本のコーチに抜てきされるのは極めて異例。篠原信一新監督(35=天理大教)の下、12年ロンドン五輪への強化に携わることになった。新体制は4日に発表される。

 人事を一新し、ロンドン五輪への強化を進める全日本柔道連盟が、新たな目玉として井上氏を抜てきした。井上氏は北京五輪出場の夢が断たれた5月に引退。その後は北京五輪へ向けた男子代表の特別コーチに就任し、合宿などに参加していたが、今回は本格的なコーチとしての就任。抜群の実績と人望を評価された抜てきとなった。

 引退後、東海大でコーチを務めている井上氏だが、過去の全日本スタッフは、大学や実業団の監督を経験してから就任する例がほとんど。それと比較すると経験はゼロに等しいが、それでも起用されたのは、実績に加え、復帰を目指す100キロ級の鈴木桂治(28=平成管財)らベテラン選手との強い信頼関係が高く評価されたものだ。将来的には全日本の監督就任が確実視されており、英才教育の側面もある。

 井上氏にとっては、全日本男子の新監督に篠原氏が就任することが決断の1つの要因になった。篠原氏は現役時代に全日本選手権で死闘を繰り広げたライバルであるとともに、最も尊敬する柔道家の1人と公言してきた。この日、大阪で高校生の指導を行った井上氏は「その件に関しては、今は何もコメントできません」と話したが、篠原新監督のサポート役として抜てきを快諾した。

 井上氏は来年1月から英エディンバラなどへ2年間のコーチ留学をする予定。その間は毎年行われる欧州遠征や、来年の世界選手権(8月27~30日、オランダ)などにピンポイントのコーチとして参加するが、帰国後は本格的な指導にあたる見込みだ。国際連盟のルール変更への対応や、石井の総合格闘技転向などで揺れるロンドンへの道。篠原―井上のコンビ結成は明るい話題となる。

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2008年11月1日のニュース