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外務省が緊急警告!…日本代表超厳戒のイエメン戦

[ 2010年1月5日 06:00 ]

厳重な警備の中、イエメン戦に向けての練習会場に到着したサッカー日本代表の選手たち

 岡田ジャパンが超厳戒態勢の中、6日のアジア杯最終予選イエメン戦(サヌア)に臨むことになった。国際テロ組織アルカイダ系勢力によるテロ行為を警戒し、3日に在イエメンの米英両大使館が閉鎖されたのを受け、4日には在イエメン日本大使館の領事窓口も初めて閉鎖された。だが、それでも日本サッカー協会は予定通り試合を行う方針を確認。日本大使館は入国予定のサポーターらに向け、外務省を通じて「テロに対する注意喚起」を発出するなど、一気に緊張が高まってきた。

 岡田ジャパンが乗り込んだ首都サヌアが超厳戒態勢に突入した。4日、米国、英国の両大使館に続き、在イエメン日本大使館も査証発給などの領事業務の対外窓口を閉鎖した。日本大使館の山口又宏参事官は「米、英に倣う形で、治安の状況を見守ることになった」と説明。3日の練習後、岡田監督は「何も起こらないことを祈るしかない」と話したが、事態は深刻度を増すばかりだ。
 山口参事官によれば、イエメン政府は昨年12月、3度にわたり国際テロ組織アルカイダ系勢力の掃討作戦を実施し、逮捕者、死傷者が約50人も出た。そのため、サヌアでは報復テロに対する警戒が最高レベルに達している。しかも3日にはブレナン米大統領補佐官が米CNNテレビのインタビューで「アルカイダがサヌアの攻撃を計画している(複数の)兆しがある」と明らかにしたばかり。日本大使館ではこの日、外務省ホームページでイエメンの最新スポット情報として今後、入国を予定するサポーターを含めた渡航者に向け「アル・カーイダ系組織による報復テロの脅威に関する注意喚起」を発出。その中で「テロや誘拐に対する厳重な注意が必要です」と呼びかけている。
 もはや極限レベルの緊張状態の中、アジア杯最終予選イエメン戦は予定通り開催される。山口参事官は「全くないとは否定できませんが、サッカーの試合が、テロのターゲットとされることは少ない」と説明。過去のアルカイダ系のテロが、観光地の欧米人、西側諸国の大使館、政府施設、石油関連施設を対象としてきたことを例に、試合会場の安全性を強調した。
 だが「注意喚起」の中でも「大勢の人が集まる場所では特に警戒を強める」ことを求めており、大観衆が集まるサッカースタジアムがテロのターゲットとなる可能性は否定しきれない。当然、試合当日の会場周辺の警備も徹底されることになる。イエメンサッカー協会が威信を懸け、警察を管轄する内務省に警備を要請。イエメン国内では武器が広く一般にまではんらんしているため、サヌア市内に通ずる幹線道路では厳重な検問を徹底。既に練習会場でも銃、スタンガンを構える武装警察を配備している。また、代表宿舎が英国大使館と隣接しているため、こちらの警備も増強。試合当日も、総人数こそ非公表だが、過去最大規模の警備態勢が敷かれることになっている。
 それでも日本代表にも動揺は広まり始めた。山田直が「死にたくはない」と言えば、西川も「勝って、無事に帰りたい」ともらした。山口参事官は「もしも、の手は打ってある。サッカー選手が標的になることはない」としながらも、日本代表チームの練習場に足を運び、現状を説明した。テロの恐怖とも戦う一戦。W杯イヤー初戦のイエメン戦は、前代未聞の“厳戒開催”となる。

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2010年1月5日のニュース