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朝原万感!男子四百Mリレー歴史的銅メダル

[ 2008年8月23日 06:00 ]

銅メダルを手にして笑顔の朝原

 【北京五輪 陸上】最高のラストランだ!!陸上男子四百メートルリレー決勝が22日、北京の国家体育場で行われ、塚原直貴(23=富士通)、末続慎吾(28=ミズノ)、高平慎士(24=富士通)、朝原宣治(36=大阪ガス)のメンバーで臨んだ日本が、38秒15で銅メダルを獲得した。五輪の男子トラック種目のメダルは史上初、男女通じても、1928年アムステルダム五輪女子八百メートルで銀メダルを獲得した人見絹枝以来、80年ぶりの快挙。長く日本短距離界を引っ張り、最後の五輪と臨んだ朝原が、これ以上ない花道を飾った。

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 無数のフラッシュを浴びて、夢のゴールに飛び込んだ。つないできた3人の思いを背負って、自身の競技人生のすべてを込めて――。今五輪が最後と決意して臨んだ36歳の大ベテラン、朝原が、最後の100メートルを爆走する。すべてを出し切った。もう何も残っていない。電光掲示板で順位を確認すると、北京の夜空に高くバトンを放り投げた。3位。五輪の男子トラック種目で史上初めてのメダル。朝原のほおを涙が伝った。
 「最高の舞台で、最高に気持ち良かった。言うことないくらい楽しかった。ラッキーもあったけど、日本が世界で戦えることを証明できた」
 千載一遇のチャンスをモノにした。前日21日の予選で、日本に追い風が吹く波乱が続出。昨夏の大阪世界選手権を制した米国、05年ヘルシンキ世界選手権金メダルのフランス、04年アテネ五輪金メダルの英国…。最近の世界大会3大会の金メダルチームが、バトンミスで次々に姿を消した。日本記録の38秒03に遠く及ばない38秒52だったが、全体の3位で決勝に進出。迎えたファイナル。ブラジルとほぼ同時にバトンを受けた朝原は、持ち前の爆発力で0秒09差のメダル争いを制した。
 「正直、体が持つか不安はあった。でも、絶対できるって気持ちもあった」
 地元・大阪で行われた昨夏の世界選手権。百メートル1次予選で、これまで聞いたことのない大歓声が耳に届いた。観客がまばらなスタンドが常の陸上で、競技人生初めての体験。「これ以上の感動はないってくらいの大会だった」。アンカーを務めたリレーで5位入賞。燃え尽きたはずだった。ナニワの大舞台を最後に現役を退くはずだった。だが、同時にまだ戦える自分に気づいた。進むか退くか。揺れる心に、1つの言葉が染み渡った。
 07年10月に家族で行った沖縄旅行。92年バルセロナ五輪シンクロナイズドスイミング銅メダリストの奥野史子夫人(36)に言われた。「ボロボロになるまでやったらいいやん」。腹は決まった。男子百メートルの日本記録保持者、伊東浩司が00年シドニー五輪を最後に引退してから8年。日本短距離界を引っ張ってきた「兄貴」は、30代半ばの肉体にむち打って、北京に乗り込んでいた。
 今後については「シーズンもう1試合か2試合はする」と話したが「競技人生の最終試合という位置付け」と語ってきた北京五輪は、メダルを目指して戦う最後の舞台だった。すべてを懸けたラストランが演出した、最高のフィナーレ。格好良すぎるぞ、朝原!

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2008年8月23日のニュース