キヨピー 愛猫・銀次郎との「格闘」で知った信頼関係の重要性 言葉は通じなくても…

[ 2023年6月19日 14:27 ]

のびのびして、ごきげんさんな銀次郎くん (写真提供 谷口キヨコ)
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 【谷口キヨコのごきげん!? SOLOライフ】 昨年の夏、猫が大病して手術。その後は自宅で私が点滴してます。入院→手術→退院まで1カ月。隔日から3日に一度、今は4日に一度の点滴です。

 腎臓が悪く、手術後も彼(名前は銀次郎、スコティッシュフォールド折れ耳、男の子10歳)には一生点滴をし続けなければなりません。それでも生きててくれて、パッと見、普通にしててくれるのがうれしいし、ありがたいし、ハッピーです。

 でも、問題は4日に一度の点滴。弱っているときはしんどいし仕方なくやられてて、反抗することもなかった銀ちゃんですが、元気を取り戻してからはおとなしくしてません。猫の肩の辺り(母猫が子猫を移動させるときに前足を使って抱っこできないから、かむ部分)をくいっとつまんで、そのタプッとなったところに針を刺すわけです。銀ちゃんは、私が点滴バッグを持ったのを見かけると、ピューとどこかに逃げて隠れてしまいます。

 『やられる』と思うんでしょうね…。銀ちゃん正解! やりますよ(笑い)。

 一人で猫の点滴をするのは至難の業で、動物のお医者さんからも「よぉやってんなぁ」と褒めてもらってます。逃げたくて仕方ない猫を捕まえておかないといけないのですが、一人で点滴する場合、捕まえておくことに手は使えません。左手で針の固定、右手で輸液の圧を調整するためにしゅぽしゅぽするからです(この表現が合ってるか分からない)。とにかく両手がふさがるのだ!

 じゃあ、どうやって捕まえておくのか。手は使えない、こうなったら足です。足というか、股で銀ちゃんを挟みこみます! しかし、体が軟らかすぎる猫のこと。たいがいの挟みこみでは上手にシュルッと抜けていくのです。何度も失敗し、猫の毛だらけになった私が編み出した技は、単なる股挟みではなく二本の足をぐっとねじって猫の出口をふさぐというものです。人様に見せたことはありませんが、たぶんヨガの達人みたいになってると思います。

 足はねじり技、その中に針を突き刺された猫、左手でその針を押さえ、右手でしゅぽしゅぽを操るヨガの達人…の私。そのときに一番大切なのは『平常心』と『猫と息を合わせる』ことです。点滴前の銀ちゃんとの話し合いも重要。「これからね、銀ちゃんには嫌なことやけど、銀ちゃんの体のためには良いことをするね。これをしないと銀ちゃんの体が悲鳴を上げて、しんどくなってしまうから、点滴させてね。ごめんね銀ちゃん」。真剣に目を見て私の思いを伝えます。

 そのとき、本気で伝えると銀ちゃんはちゃんと聞いてくれてます(ような気がする)。ほんまにこちらをじっと見てるんです。でも銀ちゃんが納得してない(ような気がする)と感じたら、もう一度伝えます。そのうち納得してくれる(ような気がする)のですが、単に猫が、真剣かつしつこい人間に根負けしてるのかもしれません。とにかく、そこからやっと点滴作業にはいります。そうじゃないと針なんて刺せるわけないんです。猫にとっては誰のためだろうが針を刺されるのは嫌なわけで「なぜそうするのか」を私が真剣に伝えることで「いつも一緒にいてる人がなんか真剣みたいやし、しゃーないか」という気持ちを引き出す…つもりでやってます。

 もちろん、猫は事情を理解してるわけではないでしょう。私がしっかりと点滴の意味と必要性を捉えて、それを冷静に点滴される銀ちゃんに伝えているので、ここは猫と人間の信頼関係の問題やと思っています。むちゃなことはされないだろうという信頼関係に私たちがあるから、猫も点滴という『嫌なこと』を受け入れることができるのではないかと思うのです。

 早く済ませたいからと私が焦ったり、何度やってもできないからと怒ったり、パニックになっていると、必ず猫もパニックになります。私に近寄ることさえありません。動物も『相手の行動は自分の思いや行動を鏡で映した結果である』と感じることがあります。『関係』って出会って一瞬で築けることなんてほとんどなくて、その間にいろいろなことがあったり、年月を過ごしたりで築けるものだと思います。

 関係を築くために『言葉』という最強の手段を持たない動物たちと、どんな風に付き合っていくのかを通して、じゃあ最強の手段を持つ人間同士ならどうなんだろうと考えます。(次回に続く)。

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