「鎌倉殿の13人」頼朝・大泉洋の魅力は“反応と顔芸”盛長・野添義弘が明かす「なりませぬ!」3連発秘話

[ 2022年7月3日 08:00 ]

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第23話。安達盛長(野添義弘)に叱責された源頼朝(大泉洋・左)はこの表情(C)NHK
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 鎌倉幕府初代将軍・源頼朝が落馬し、いよいよ物語前半のフィナーレが近づくNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)。その時、一緒にいたのは、頼朝が伊豆に流罪となった少年時代から仕え続ける愛すべき従者・安達盛長。盛長役の俳優・野添義弘(64)に頼朝役の俳優・大泉洋(49)の魅力を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 稀代の喜劇作家・三谷幸喜氏が脚本を手掛け、俳優の小栗旬が主演を務める大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 野添は大泉と初共演。大泉は北海道発の5人組演劇ユニット「TEAM NACS」のメンバーだが「他のNACSの皆さんとは全員共演していましたから、今回で“NACSコンプリート”なんです(笑)。以前から大好きな俳優さんだったので、ご一緒できるとなって、しかも頼朝と盛長という役どころで、本当にうれしかったですね」と喜びを明かした。

 野添も三宅裕司が主宰する劇団スーパー・エキセントリック・シアター所属。志村けんさんの舞台「志村魂」に常連として出演するなど、コメディーセンスはピカイチだが、大泉の“顔芸”には舌を巻く。

 例えば、第23回「狩りと獲物」(6月12日)。「富士の巻狩り」の最中、懲りずに比奈(堀田真由)に逢いに行こうとする頼朝を、盛長が制止した。

 頼朝「頼む!これを最後にする」

 盛長「なりませぬ」

 頼朝「(工藤)祐経が比奈の居場所を聞き出してくれた。あれは頼りになる男だ。行ってくる」

 盛長「なりませぬ。(立ち上がり)それで済むわけがないではありませんか」

 頼朝「朝までには帰ってくる」

 盛長「(語気を強め)なりませぬ!」

 頼朝「(唖然)」

 野添は「3回目の“なりませぬ!”は、僕がテストの時に怒鳴ったんですね(笑)。そうしたら、大泉さんがとんでもなく情けない顔をしたんです(笑)。(演出の)吉田(照幸)監督をはじめ、スタッフさんが大笑いして“本番も今の(演技)で行きましょう”と。それで、ああいうシーンになりました。実は台本上は最後の『なりませぬ』が『なりません!』になっていて、より近親者に対する物言いに感じたんです。さすがの盛長も、親戚のおじさん的な立場で“おまえ、いい加減にしろ!”と感情が爆発したんじゃないか。それで、感覚的に少し強めに言ってみたんですが、あのリアクションですから(笑)」と撮影秘話を明かした。

 「視聴者の皆さんからも“頼朝と盛長のシーンに癒やされました”とか“笑いました”とかツイッターにコメントを頂くんですけど、それは、やっぱり大泉さんのリアクションと表情が面白いからなんですよね」。第13回「幼なじみの絆」(4月3日)、亀(江口のりこ)との逢瀬を政子(小池栄子)に阻まれ、八重(新垣結衣)を訪ねたものの、指を噛まれた頼朝は「是非もない。鎌倉へ帰ろう」と平静を装う。盛長は食い気味に「それがよろしいかと」。この時の大泉の顔も印象に残る一例として挙げた。

 出世作「水曜どうでしょう」など“バラエティーの顔”も持つ大泉だが、野添は「ちゃんとお芝居の中で面白さを成立させているところが凄いと思います。面白いことをするのって本当に難しくて大変なんですけど、大泉さんはそういう空気や佇まいが自然と出てくるんじゃないのかな、と今回ご一緒して感じました」。それでいて、上総広常(佐藤浩市)を粛清した第15回「足固めの儀式」(4月17日)などは「恐ろしい限り。今回の頼朝役は、面白いお芝居も締まったお芝居も両方、完璧にこなせる大泉さんじゃないと無理だったと思います」と実感している。

 「大泉さんと笑いのあるお芝居をするのは、特に楽しいんですよね。本当に素晴らしく、素敵な俳優さん。ますますファンになりました」

 今夜の第26回は「悲しむ前に」。源頼朝(大泉)が落馬し、安達盛長(野添)が涙に暮れる中、北条義時(小栗)は先を見据え、大江広元(栗原英雄)らと頼朝の嫡男・頼家(金子大地)を次の鎌倉殿とする新体制作りを始める。しかし、頼家の乳母父・比企能員(佐藤二朗)の台頭を嫌うりく(宮沢りえ)が夫・北条時政(坂東彌十郎)を焚きつけ、この流れに対抗。鎌倉に不穏な空気が流れる中、狩りから戻った頼家は…という展開。数々の名シーンを生んだ“大泉頼朝”と“野添盛長”を待つ運命は――。

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