早川千絵監督 長編デビュー作「PLAN75」で新人監督賞特別表彰「特別で大切な1本目の映画」

[ 2022年5月30日 05:00 ]

カンヌ映画祭で新人監督賞特別表彰に選ばれた早川千絵監督(AP)
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 第75回カンヌ国際映画祭の審査結果が日本時間29日に発表され、「PLAN75」(6月17日公開)の早川千絵監督(45)が新人監督賞で特別表彰された。

 登壇した早川監督は緊張の面持ちで「メルシー ボークー(ありがとうございます)」とフランス語であいさつ。

 その後、日本語で「すべての映画監督に最初に撮る1本目の映画があります。誰にとっても1本目というのは思い入れが深く、特別なものだと思うのですが、私にとっての特別で大切な1本目の映画を評価してくださって本当にありがとうございます」と感謝。
 長編デビュー作となった「PLAN75」について「今を生きる私たちに必要な映画である、と言ってくれた方がいました。その言葉が心に深く響いています」と喜びを語った。

 「カメラドール」(新人監督賞)は全部門の長編第1作から選ばれ、日本では過去に河瀬直美監督(53)が97年に「萌の朱雀」で受賞。特別表彰は次点に当たる。今年は20本以上がカメラドールの対象となり「PLAN75」は受賞した米映画「WAR PONY」に準じる高い評価を受けた。

 75歳になると自らの生死を選択できる制度のある近未来を舞台に、当事者の老人や担当の職員らがその是非と向き合う物語。是枝監督が総合監修を務めた18年のオムニバス映画「十年 Ten Years Japan」の一本だった同名の短編を、キャストを一新して長編に再構築した。

 主演の倍賞千恵子(80)は「生きるということを優しく、力強く撮影していた日々が、昨日のことのように熱くよみがえってきました。サァーこれからもどんどん映画作ってくださいね。本当におめでとうございます」と祝福。是枝監督も「長編デビューでここに来られて、本当に素晴らしいスタート。彼女にはこの後、コンペが待っていると思いますので、日本映画にとってとてもいい流れだと思います」とエールを送った。

 早川監督は授賞式後「たくさんのスタッフが関わった作品なので、皆の期待に応えられてうれしいというより安心感の方が大きい」と笑顔。そして「自分が心を動かされるような映画を作ることが、見た人の心も動かせるんだと思った。これからもそういう映画を目指して作っていきたい」と確かな手応えをつかみ、未来を見据えた。

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2022年5月30日のニュース