小田和正 「クリスマスの約束」で伝える「最後のニュース」の普遍性

[ 2021年12月23日 08:00 ]

「クリスマスの約束2021」で歌う小田和正(右端)ら(C)TBS
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【牧 元一の孤人焦点】その楽曲の素晴らしさを、何年も後になって、痛切に感じることが時にある。小田和正(74)が2001年に始めたTBS「クリスマスの約束」はその機会をつくってくれる大切な音楽番組だ。

 今年の放送は24日深夜0時20分から。収録は先ごろ、千葉・舞浜アンフィニティーシアターで、観客1600人を迎えて行われた。

 今回も数々の楽曲が演奏されたが、個人的に特に胸に響いたのは、「最後のニュース」だ。井上陽水が1989年にシングルとして発売した曲で、TBSの報道番組「筑紫哲也のNEWS23」のエンディングテーマとして広く知られている。

 この曲は2014年の同番組でも披露された。現在はコロナ禍で、7年前よりも世界的に状況が悪化しているとも言える。小田はこの曲をゲストたちと歌い始める前、「今回のコロナでは僕も音楽に救われて来ました。そして、素直に、音楽をやりたい、みんなと歌いたいと思いました」と心境を明かした上で「僕らはこの厳しい状況をどう乗り越えていくのでしょう」と話し、曲に入っていった。

 歌詞を早口のようにつないでいく、陽水のオリジナリティーあふれる曲。多人数で歌うには適していないような印象もあるが、みんなの声がそろうと、とても力強い。♪今 あなたにGood-Night…のハーモニーが限りなく美しい。混ざり合う男性と女性の声が心地いい。コロナ禍の今、7年前に聴いた時よりさらに強く心を捉える。そして、この曲の普遍性を、改めて感じる。

 今回のゲスト(50音順)は熊木杏里、清水翔太、JUJU、スキマスイッチ(大橋卓弥、常田真太郎)、長屋晴子(緑黄色社会)、根本要(STARDUST REVUE)、水野良樹(いきものがかり)、矢井田瞳、和田唱(TRICERATOPS)。

 20代の長屋が70代の小田とともに緑黄色社会の代表曲「Mela!」と小田のヒット曲「キラキラ」をメドレーで歌う場面も、躍動感いっぱいで、心が弾む。

 それにしても、小田は若々しい。高く美しい声が衰えないことに驚かされる。この番組の放送が終われば、今年も残りわずか。来年の小田の動向も気になるところだ。

 関係者によれば、来年の予定は決まっていない。ただ、小田はスタッフに「自分を待ってくれる人たちに向けて、その期待に応えられるように頑張って、楽しい時間をつくっていこう。良い曲を作らなきゃ」と話しているという。

 その前向きな思いは、ファンにとって、何よりのクリスマスプレゼントだ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

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