「チョコプラ」長田庄平 松本人志の小道具「コント」に憧れ…“面白い”を作る

[ 2021年9月5日 05:30 ]

工具を手にポーズをとるチョコレートプラネット長田庄平
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 【夢中論】お笑いコンビ「チョコレートプラネット」の長田庄平(41)は“モノ作り”を止めない。コントのキャラクターから、使用する小道具に至るまでその全てが手作り。そこには細部まで“面白さ”へのこだわりを込めている。実家の町工場で培った作ることへの情熱と、松本人志(57)から衝撃を受けた笑いへの探究心。それがコント作りの原点になっている。(吉澤 塁)

 ドライバーを持つ手を黙々と動かす。作っているのはコントで使用する「ポテチの袋をクリーニングする機械」。ポテトチップスの袋を挟むと電動でスライドしながら洗浄が行われるもの。仕掛けに使用するのはミニ四駆のモーターやゴムタイヤ。「面白い」と納得のいくスピードが表現できるまで速度調節のためギアをいじる。

 「何かを作っている最中は基本、作業に没頭しています。ただ、どう動くと面白いか。どの色だと面白いか。その感覚は常に研ぎ澄ませていますね」

 実家が町工場だった。工作好きの祖父を見て育ち、物心がつくころには牛乳パックや紙粘土などで工作を楽しんでいた。「イメージしたものは頭の中にすぐ設計図ができる。こうしたらこう作れるだろう、という感覚は幼少期には養われていたかな。昔からの蓄積です」と胸を張る。

 「ポテチの袋…」のようなコントに登場するさまざまな小道具は長田が作る。「面白く見せるためには説得力がないといけないので、リアルさが大事。だから僕の作る小道具は、“小道具”っぽくないんです」とこだわりを明かす。

 高校卒業後は美術系の短大でデザインを勉強。その後は陶芸教室の講師も務めていた。将来を考える中「このままだと平凡な人生になってしまう。自分がおじいちゃんになって死ぬ間際になった時、孫に話す面白いエピソードトークがないと思って」。刺激を求めてお笑いの世界へ飛び込んだ。

 元々お笑いは大好きだった。中でも強烈なインパクトを受けたのが、松本人志が関わるフジテレビ「ダウンタウンのごっつええ感じ」(91~97年)のコントだ。

 水上バイクに似た謎の乗り物「オートサリンジャー」の乗り方をナンセンスに説明するコント。老夫婦が古びたアパートで精巧に作られた「腸」を巡って夫婦げんかをするコントなど、小道具が登場する作品に目を奪われた。

 「冷静に考えれば何が面白いのか分からないけれど、理屈じゃない面白さがあった。松本さんを信じて、これを“面白い”と思ってコントを作るチームがいること。その勇気に憧れました」。自分たちのコントに小道具が多数登場するのも、その影響は大きい。

 モノを作ることと、コントのキャラクターを作り込むことも、どこか似ている。「ネタから逆算してまずはキャラを決める。リアルにいそうな人物なら論理的に所作を考えるし、ファンタジーなキャラならその場のパワーで押し切る。そのバランスを考えます。キャラクター像を作る前に設計図があるというのは、小道具作りにも似ていますね」と分析した。

 コンビとしては相方・松尾駿(39)のIKKO(59)のモノマネや、リズムネタ「TT兄弟」などを経てブレーク。今年4月からはフジテレビの新コント番組「新しいカギ」のレギュラーメンバーに抜てきされた。「普段の自分たちのコントと違い、番組なので台本がある。そこにアドリブでどう味付けしていくか。やっていて楽しいですね」と手応えをのぞかせる。

 「第7世代」と呼ばれる若手芸人が日夜テレビで活躍し、ここ数年は新たなお笑いブームが巻き起こっている。「もちろん面白い芸人はたくさんいますが、リアルに存在感のある小道具を作る技術力は芸人一なのかな」とニヤリ。世代や枠組みなどでくくられることも多い昨今のお笑い界。その中でもチョコレートプラネットは、個性の強いキャラクターと独創的な世界観を武器に唯一無二の存在感を放ち続ける。

 《人気キャラ「力見力」反響に手応え》フジテレビ「新しいカギ」(金曜後8・00)では、霜降り明星、ハナコとともにレギュラーを務めている。他の2組と比べて上の世代にあたり「霜降り明星をフロントとして立てつつ、ハナコを生かす。俺らは周りを固められれば」と役割を分析した。力みすぎてモノを壊してしまう引っ越し業者「力見力」など、長田が演じる人気キャラも多い。「若い人や子供もマネしてくれて反響は感じています」と手応えをのぞかせた。

 10月から番組は土曜午後8時枠に移動する。局にとっては「オレたちひょうきん族」「めちゃ×2イケてるッ!」などを生み出した伝統のバラエティー枠。「タイミングと運がなければ土8の一員になれない。体当たりで頑張りたい」と気を引き締めた。

 ◇長田 庄平(おさだ・しょうへい)1980年(昭55)1月28日生まれ、京都府出身の41歳。ネタ作成担当。嵯峨美術短大を卒業後、陶芸教室の講師などを経て、05年に東京NSCに11期生として入学。06年に松尾駿とチョコレートプラネットを結成。08年にキングオブコントの決勝進出。14年には準優勝、18年には3位となった。身長1メートル68。血液型A。

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