「おかえりモネ」今度は気仙沼の霧「けあらし」登場 地元の人が撮影 登米「移流霧」に続く幻想的なシーン

[ 2021年7月9日 08:20 ]

連続テレビ小説「おかえりモネ」第39話。最愛の妻・美波の声が残された携帯電話を強く握り締める新次(浅野忠信)(C)NHK
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 女優の清原果耶(19)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は9日、第40話が放送され、宮城・気仙沼に冬を告げる霧「けあらし」が登場した。演出を担当した桑野智宏監督に撮影の舞台裏を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 朝ドラ通算104作目。清原とタッグを組んだNHK「透明なゆりかご」やテレビ東京「きのう何食べた?」などで知られる安達奈緒子氏が手掛けるオリジナル作品。朝ドラ脚本初挑戦となった。タイトルにある「モネ」は主人公・永浦百音(ももね)の愛称。1995年に宮城県気仙沼市に生まれ、森の町・登米(とめ)で青春を送るヒロイン・百音が気象予報士の資格を取得し、上京。積み重ねた経験や身につけた技術を生かし、故郷の役に立ちたいと奮闘する姿を描く。

 第40話は、姿が見えなくなったと心配された新次(浅野忠信)が無事見つかった翌日、百音(清原)が気象予報士試験の勉強に励む横で、幼なじみたちはボードゲーム楽しんでいた。ゲームの途中、ふとしたことから、亮(永瀬廉)は自分たちの世代の将来について語り始める。百音が登米に戻る前日、亜哉子(鈴木京香)は、百音と未知(蒔田彩珠)に自分の人生を引き合いにアドバイス。そして翌朝、百音は漁港近くの海沿いに、1人佇む新次の姿を見つけ…という展開。

 「けあらし」は冬は海水の方が温かいため、陸地から移動した寒気が海水面の水蒸気を冷やして発生する霧。「蒸気霧」とも呼ばれ、よく晴れて風が弱くないと発生しない。気仙沼に冬を運ぶ風物詩として知られる。

 新次は「船、見に来たの。けあらしがすげぇきれいだったから。今日は船いっぱい出ていくから、息子の亮の船も出たかなぁって、ちょっと見に来た。何か色々悪かったね」。百音がけあらしの現象を説明すると「何で出るとか、あんま考えたことないけど、いいよな」。百音が「見て、つらくなったりしないですか?」と聞くと、東日本大震災で船も自宅も、愛妻の妻・美波(坂井真紀)も失った新次だったが「海に恨みはねぇから」。新次が見つかった翌朝、亮が百音につぶやいたのと同じ言葉だった。

 桑野監督によると、百音が合格祈願をするシーンの前、新次の「海に恨みはねぇから」の後に登場した海の実景2カットは、本物のけあらし。「このシーンのけあらしの映像は、気仙沼でけあらしを撮り続けている地元の方にお願いして撮っていただきました。その方には何度も漁港近くに足を運んでいただきました。幻想的で美しいけあらしを、是非、皆さんに見ていただきたいです」と語った。

 第5話(5月21日)、百音たちが登米市を流れる北上川に「移流霧(いりゅうぎり)」を見に行くシーンと並び、現地の美しい自然を生かした名場面。幻想的なけあらしが、家族に思いをはせる新次の心情を映し出した。

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2021年7月9日のニュース