「いだてん」感動の人見絹枝物語 演技初挑戦の菅原小春が話題に“魂の表現”

[ 2019年7月8日 06:00 ]

「いだてん」で日本人女性初のオリンピック選手・人見絹枝を演じる菅原小春(C)NHK
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 NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(日曜後8・00)は7日、第26話「明日なき暴走」が放送され、日本人女性初の五輪選手・人見絹枝がアムステルダム五輪で悲願の銀メダルを獲得する場面が描かれた。演技初挑戦中のダンサー菅原小春(27)が人見を熱演。大きな反響を呼んだ。

 1928年(昭和3年)のアムステルダム五輪が迫り、体協が資金難に苦しむ中、田畑政治(阿部サダヲ)は記者人脈を活かし、政界の大物・大蔵大臣の高橋是清(萩原健一)に選手派遣のための資金援助を直談判する。アムステルダム大会は女子陸上が正式種目に。国内予選を席巻した人見絹枝(菅原小春)はプレッシャーに押しつぶされ、期待された100mで惨敗。このままだと日本の女子スポーツの未来が閉ざされる。絹枝は未経験の800mへの挑戦を決意する――。

 日本女子スポーツのために戦い、新たな道を切り開いた人見絹枝。放送中から放送終了直後にかけて、「人見絹枝」がYahoo!リアルタイム検索ランキングの1位に。ネットでは「泣けた。涙が止まらなかった…」「専門外の競技でメダルとるなんて凄い!」「現代にも通ずる、大切なことが詰まっていたと思う」と功績を称える声が広がった。

 昨年大みそかの「第69回NHK紅白歌合戦」では初出場した歌手・米津玄師(28)の「Lemon」歌唱中に荘厳なダンスを披露し、話題を呼んだ菅原。今作が演技初挑戦となったが、圧巻の存在感を見せた。「菅原小春さんと人見絹枝さんが見事に重なった」「菅原さんの演技が素晴らしい」「初めてとは思えない…心奪われた」「本当の神回」と視聴者が熱演を称えた。

 オリンピックのロッカールームで号泣しながら専門外の800メートル出場を直訴する場面について「お芝居が初めてで、どういうふうに“泣く”のかも分からなかったので、普段、家で自分が泣くような感じでした」と菅原。「作り込むというより、人見さんがいて、(才能に気づき、陸上競技に進むよう導いた)シマさんがいて、人見さんにまつわる全てのことを思ったら、ああいうふうに泣いてました」と振り返った。

 ドラマ「モテキ」「まほろ駅前番外地」などのヒット作を手掛けてきた演出担当の大根仁監督(50)も、菅原の初挑戦とは思えぬ演技を称える。

 「菅原さんの演技は、見たことがないタイプの芝居だった。これまで何百という数の作品を撮影してきて、脚本を読むと“大体こんな感じになるなあ”と、良くも悪くもイメージができてしまうのですが、10年に1本くらい“これは、とんでもないものができ上がるかもしれない”と感じる時があります。僕は『神回』という言葉は好きではないが、撮影側の実力や演出力を超えてしまう、何か別の力でつくらされているようなドラマがたまにでき上がるが、今回はまさにそういう回だった。競技場控室の場面を撮影した時に“とんでもないものができ上がるな”と確信しました」

 菅原は今作との“出会い”について「ダンスをやっていて、あるところで節目を感じたんです。“これ以上踊る理由が見当たらないなという作品に昨年出会ってしまった”という気持ちが去年ごろあって。踊っていても自分にいいバイブスが流れていないなと思った時に『いだてん』のオファーがあって、作品と出会いました」と振り返る。

 この挑戦が“表現者・菅原小春”として、さらなる高みへと向かうきっかけになるかもしれない。演技経験について「スキルもテクニックも、全てを削いでいったら、魂だけになるようなところはダンスと同じだなと思った」と菅原。

 続けて「例えば、ダンスなんですが、身体を動かすのではなく、じっと座っているだけで成り立ってしまうような表現。動いてないのに“この人ダンサーだな”って言われるような表現ができたらいいなと思うようになりました。ステージに立って、ある一点を見つめて、そこから顔を横に向けただけでダンスだと言われるような表現もある。ダンサーとして目指したい表現と通ずるところがあるなと思いました」と思いを告白。“表現者・菅原小春”の次なる挑戦に期待が高まる。

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