王将戦第6局 動の豊島八段VS静の久保王将は2日目に含み

[ 2018年3月15日 05:30 ]

王将戦第6局1日目の対局に臨む久保王将(左)と豊島八段
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 久保利明王将(42)の3勝、豊島将之八段(27)の2勝で迎えた第6局が始まった。カド番に立つ先手の豊島が序盤から工夫の指し回しでペースを握ったかに見えたが、午後に入って1時間超えの長考を連発。難解な局面の49手目を封じ、15日の2日目に含みを残した。対局再開は午前9時。

 松本市の最高気温はなんと22度。早春を省略して春本番を迎えたような穏やかさだ。戦いの場となっている対局室もぽかぽかと暖かい。盤面も平和そのもの…と思いきや、実は難度を極めている。

 先手の豊島が練りに練った一手を繰り出したのは15手目の[先]4三角。対して久保は[後]3二角と受けるしかない。これを見た若きチャレンジャーはすかさずこの日3度目の角交換。細かいジャブの連投で一段目にいた金を二段目につり出し、相手の得意とする振り飛車の威力を低下させた。

 「いろいろと考えていた形の一つです。イメージとして、はい」。ポーカーフェースながらも手応えをつかみかけた豊島。だが午後のデザートタイム(3時)付近からは様相が微妙に変化する。

 45手目の[先]3六歩に1時間2分。そして結果的に封じ手となる49手目は1時間41分をつぎ込む。控室では千日手の可能性もささやかれ始めた。選択する権利は豊島にある。「難しい局面が続いているので…」。耳栓を使用し、集中度を高める。時に虚空をにらみ、時に顔を伏せながら熟考を重ねるばかり。

 一方の王者は悠然と構えた。自らのストロングポイントを消されるような展開にもかかわらず、だ。「明日(15日)は朝から戦いが始まるかもしれません」とまなじりを決した。

 シリーズ決着局になり得る可能性を秘めている15日の最高気温予想は20度!2人の激突によるエネルギーが、春まだ浅いはずの信濃路を熱くしている。

 【封じ手は?】

 ▼立会人・中村修九段 [先]3五歩。相手の弱い3筋を攻める手。銀が動いた場面でタイミング的にも良い

 ▼副立会人・飯島栄治七段 [先]5三馬。[先]3五歩は攻め込まれる可能性があり危険。様子見の一手

 ▼記録係・山川泰煕三段 [先]3五歩ではないか。[先]5三馬は千日手の可能性があり、避ける意味もある

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2018年3月15日のニュース