弁護士・萩谷麻衣子さん“ゲス不倫”代償支払う覚悟ありますか?

[ 2017年9月24日 11:00 ]

大人の魅力

腕組みしてポーズを決める萩谷麻衣子弁護士
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 世の中、不倫旋風が吹き荒れている。女優、タレント、国会議員、いつからこんな時代になったのか。離婚や夫婦間トラブルを数多く手掛ける弁護士の萩谷麻衣子さんに、気になる事情と対処法を聞いた。「禁断の恋は甘いことばかりではありません。必ず大きな代償を支払うことになります」。皆さん、その覚悟はありますか。

 萩谷さんは、テレビ朝日「ワイド?スクランブル」などでコメンテーターとしても活躍中。優しい笑顔と社会的弱者、女性目線からの的確なコメントで主婦層から多くの支持を得ている。まずは、記憶に新しいこの2人。不倫は否定したものの民進党を離党した衆院議員の山尾志桜里氏、会見後に不適切な関係を認めた女優の斉藤由貴について。

 「議員だからという理由で山尾さんには説明責任があるというのは、少し違うと思います。例えばそのことで何か議員活動に影響が出たとか、議員の特権を利用して宿舎で会っていたとかであれば話は別ですが。会見で本当のことを話さなかったと斉藤さんを非難する人もいますが、それもどうでしょう。そもそもプライベートなことです」

 萩谷さんによると、実際の離婚調停や裁判でも「不貞行為」を認める当事者はまずいないという。家庭裁判所では、裁判官が提出された写真、メールなどの証拠を勘案し、一般常識に照らし合わせて男女関係の有無を判断する。たとえ有名人とはいえ、人間の心理は同じ。正直に説明する人などいないと考えた方がいい。その後の審判は、議員ならば有権者、芸能人ならファンが下すことになる。

 今や不倫は有名人ばかりではない。どこのオフィスでも1人や2人いる時代だ。配偶者の「不貞行為」を理由に離婚する夫婦は確実に増えている。その理由は一つではない。人の寿命が延びたこと、インターネットやSNSなど新しい出会いの場が出現したこと、特に女性側の不貞が増えたことに、萩谷さんは「女性の社会進出と大きな関係がある」と指摘する。「男女雇用機会均等法」(86年施行)以来、経済力を身に付けた女性が増加、それに伴い、物心両面で女性の「自由」が明らかに高まったこともあるのではないかという。

 そうはいっても「不倫」が市民権を得たわけではない。倫理に反した行為であることに変わりはない。不貞行為が離婚の原因となれば配偶者への慰謝料、子供の養育費など「法的な責任」は免れない。さらに「社会的な代償」も支払うはめになる。職場、仕事上での信用が大きく失墜することは必至。「ちょっとした火遊びのつもりでも失うものは本当に大きいです。それは男女とも同じ。もし今、不倫に走りそうな可能性がある人は、しっかりとその覚悟を持つべきね」

 ちなみに不倫の「慰謝料」は、300万円が相場だそうだ。

 では夫や妻の行動が疑わしいとき、どのように対処すればいいのだろうか。以下、萩谷さんのアドバイス。

 【ケース1】夫が突然、「離婚してくれ。俺はもうおまえに我慢できない」と言いだした場合。

 「こんなときは間違いなく背後に女性がいます。金銭的に余裕があれば調査会社に依頼して写真、メールなど証拠を押さえたほうがいいでしょう」。夫の言葉に驚いて自分を責めてしまう女性も多いが、それはダメ。夫が一方的に離婚を決意しているときは十中八九新しい女性ができたときだという。離婚の条件を有利にするためにも夫の身辺を調査すべき。

 【ケース2】夫が妻から「正直に話せば許してあげる」と言われた場合

 「夫に味方をするわけではありませんが、“不倫はしていない”と最後までしらを切ったほうがいい」。そして、妻に証拠を押さえられる前に不適切な関係を解消することが肝心。疑心暗鬼になった妻の調査能力は想像以上。メール、フェイスブックなどは要注意。「あくまでも速やかに不倫関係の清算を」

 【ケース3】配偶者がひょっとして不倫をしているのではと疑いを持った場合

 「どうもおかしいというぐらいなら、少し様子を見ましょう。証拠探しを始めると後戻りできなくなり最悪の結果を招く可能性もあります」。徹底的に相手を糾弾したり責めたりすると、元のさやに収まるものも収まらなくなる。冷静に相手を観察し、行動に移すのは相手が無断外泊したり、生活費を入れないなどの影響が出てからでも遅くない。

 あくまでもケース・バイ・ケース。どうぞ、ご参考まで。

 ◆萩谷 麻衣子(はぎや・まいこ)弁護士、テレビコメンテーター。年齢非公表。88年、慶大法学部卒業、92年、司法試験合格。現在、萩谷麻衣子法律事務所代表。専門は刑事事件、一般民事、企業法務。癒やしは、ペットの猫と遊ぶこと。

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