LinQ卒業の杉本ゆさ、来季楽天コーチの父・正氏と“本音”対談 アイドルの親の心境は…

[ 2016年12月15日 15:04 ]

対談を終え、親子で記念写真を撮る杉本正氏と杉本ゆさ
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 九州、福岡を拠点とするアイドルグループ「LinQ(リンク)」から来年3月に卒業する第1期生メンバーの杉本ゆさ(25)と、今季限りで本紙評論家を“卒業”して来季から楽天の1、2軍巡回投手コーチに就任する父・杉本正氏(57)のスペシャル父娘対談が実現した。現役アイドルと、通算81勝を挙げた元プロ野球投手の父との言葉の“キャッチボール”は、互いへの思いやりとユーモアにあふれた。来年から新たな道を歩み始める父娘に幸せあれ。(聞き手・東山 貴実)

◆オーディション 保護者同伴のお兄ちゃんが“彼氏”と勘違いされた!?

−−LinQからの卒業を発表して約1カ月

 ゆさ「お父さんにも以前から何となくは言ってたけど、正式には卒業発表する週の平日に伝えました。ちなみに家族LINE(ライン)で」

 正「本人が好きで始めたことなんで、辞めるときも自分で決めたのならそれでいいと。アイドルは若い時しかできないし、好きなことをやればいいよと見守ってきた感じ。これまで娘の公演にも1度も行ったことがないんですよ」

−−娘さんがアイドルになるとは

 正「全然、思ってもなかった。医療事務の専門学校に通っていたので、そういう関係のところに就職して、時が来れば、いい人が見つかってお嫁に行くのかな、ぐらいにしか考えていなかった。ちなみに僕にとってのアイドルはピンクレディーと桜田淳子。現役時代、マウンドに上がる時のテーマ曲も♪サウスポー♪だった」

 ゆさ「私も全然。LinQに入る1カ月前でも思ってもなかった。就活が本当にしたくなくて…。それに私、毎日、違う場所に行きたいと思ってたんですよ。だから福岡で芸能活動しながら学生やれたら楽しいな、ぐらいの軽い感覚。そんな時にネットで“福岡モデル事務所”で検索かけたら、一番上に出てきたのがLinQのオーディションだったんです」

 正「性格的にどちらかと言うと冒険心がある。何をやるにしても“こんなの私、できますよ”って感じで物怖じしないというか、遠慮がないというか。それにウチの嫁(久美子夫人)が割と積極的に勧めていましたね。嫁のことを言えば、八女高校(福岡)演劇部で黒木瞳が1年下の後輩。僕と結婚する1年前、26歳の頃まで東京・巣鴨の劇団「すばる」に入っていて主に舞台女優をやっていたんです。だから、娘もその血筋を引いているんじゃないかな」

 正「それでも当初、僕は“受けてもどうせ無理だろう”って感じで。何せ、オーディションに付いていったのもお兄ちゃん(長男・一輝)」

 ゆさ「そう。未成年だったから保護者同伴が条件で。でも恋愛禁止の中で、一瞬、“彼氏”と思われたみたいで(笑い)」

−−音楽やダンスはもともと得意

 正「よくよく考えたら、娘が踊っている姿を見たのは、小学校の時の町内会の夏祭りが最後ぐらいかも」

 ゆさ「逆にお父さんが野球選手なのに、球技がまるで苦手。中学の時にやったテニスも駄目だったし…」

 正「そういえば、キャッチボールしたことないなぁ。ただ、我が家ではみかんは手渡しでなく投げる。でも、センスがないから娘が下から投げても、勢いが付きすぎてよく天井に当たる」

 ゆさ「でも、マット運動や跳び箱は得意。跳び箱は8段」

 正「でも、その跳び箱で高校の時に(失敗して)歯を飛ばしてたな(笑い)」

◆正氏「料理で覚えてほしいのはお母さんのカレー」ゆさ「頑張ります」

−−娘さんは1人暮らしを始めた

 ゆさ「1年半が経ちましたね。自立したいなという気持ちから。それまで料理もしないし、洗濯機も回したことがなかったから」

 正「大丈夫かな?と不安もあったけど、女性として自分を磨くにはプラスもあると思って」

 ゆさ「お父さんとお母さんは仲良いから、2人の時間ができていいでしょ?」

 正「そう言えば、中学、高校時代に“料理ぐらい手伝え”って何度言ったことか。ところが、“何で私がせんといかんの”って。女性は男性以上に言葉遣いや相手に対する思いやりが大事だから、息子2人より娘に一番怒ったもんです」

 ゆさ「あの頃はめちゃ怒られるから嫌だった。私も怒られるとすぐ反発するから、余計に怒られて…。でも、今はその料理が好きなんです。最近はカルボナーラ作って、めちゃ上手にできたから、お母さんに写メ送りました」

 正「そういや、ゆさの手料理、食べたことがないね。やはり、覚えてほしいのはお母さんのカレー。自分の家庭のカレーが一番美味いとよく言うじゃないですか。その味が作れるようになってくれたら」

 ゆさ「頑張ります。でも、1人暮らし始めても週一では帰ってますよ」

 正「僕に会いに帰るんじゃなくて、犬に会いね。春先に嫁のお母さんが体調を悪くして、犬を飼ったら癒やされるし、元気になるんじゃないかという話になって」

 ゆさ「7月の海の日に見に行って。トイプードルの雌で、名前はリリーです」

−−お父さんがプロ野球選手で得したことは

 ゆさ「話題なかったら、お父さんは野球選手ですと言ったら、私が凄いんじゃないのに私の強みになったり。あと小学2年の時に西武の優勝旅行でハワイに連れて行ってもらいました。野球を一番観たのは高校の時で、月に3、4回はヤフードームに行ってましたね」

 正「娘が本多選手のファンでサインもらったり…」

◆松井稼頭央選手と娘の記念撮影が思い出

−−来季からお父さんは楽天の投手コーチ

 ゆさ「楽天といえば(松井)稼頭央さん」

 正「西武のコーチだった時に、稼頭央が埼玉の僕の自宅に来てくれて、夏休みで来ていた娘たちと一緒に写真を撮ってくれたなあ」

 正「楽天で若い選手に“目標設定して練習していこう”と言っておいて、娘には“好きにやれ”というわけにはいかない。娘にも1つの夢や目標を持ったら、簡単に諦めてほしくない」

 ゆさ「卒業してからのことは年が明けたら真剣に考えようと思っているけど、女性が輝くために何か提供できるような仕事がいい。ただ、福岡を出る気はないですね。もう芸能活動は一切しません。いつかまた出て来てくれると、ファンの人に期待させるのも嫌だから」

−−最後にお互いにエールを

 ゆさ「単身で家を離れますけど、家族みんなで応援しています。また、ユニホーム姿が見られるのは楽しみ。お父さんが一番やりたいことだと思うし、お父さんの頑張りを見られるのもやっぱりユニホーム姿。仙台の球場にも行きたい」

 正「ユニホームを着られることに感謝して、1人でも多く1軍で活躍できる選手を育てたいですね。ゆさにはLinQのファン、運営に携わった人たちに感謝と“ありがとう”という気持ちを忘れずに、卒業後も新たなものに没頭にしてほしいというのが一番」

 正「そうだ、卒業公演にビデオメッセージ送ろうか?」

 ゆさ「要らない。星野(仙一副会長)さんだったらいいよ」

 正「……」

◆「ゆさ」名前の由来は正氏「嫁のお母さんがウチの嫁に付けようとしていた名前」

 ≪編集後記≫ 終始、笑いが絶えなかった父娘対談。どこの家庭にもよくあることだが、思春期の頃のゆささんは帰宅しても、父とは目も合わせず2階の自室に駆け上がっていたことも。そんな日々も回顧しながら、父は「LinQに入って、20歳を越えて、話し方もだいぶ穏やかになった。そりゃ1人娘ですし、可愛いですよ」と目尻を下げた。印象的だったのは、ゆさ(由紗)という名前は「実は嫁のお母さんが、ウチの嫁に付けようとしていた名前」(正氏)という話。世代を越えた強い家族愛に、ゆささんも「この名前、すごく好きです。だから、LinQに入っても変える気は全然なかった」と言う。正氏が久美子夫人と結婚したのが28歳の時だという話には、「うわー、あと3年しかない」と一瞬焦ったゆささんだったが、「結婚はもっと社会勉強してから。精神年齢が19歳で止まっているんです」と切り返した。そして、来年11月28日に結婚30周年を迎える両親に、「盛大に祝おうね」と約束していた。

 ▼杉本 ゆさ(すぎもと・ゆさ)1991年(平3)12月13日、福岡県生まれの25歳。愛称は「ゆさぽよ」。特技はライブの煽(あお)り、早着替え、子供と仲良くなること。趣味はネイル、半身浴。

 ▼杉本 正(すぎもと・ただし)1959(昭34)5月3日、静岡県生まれの57歳。御殿場西高から大昭和製紙に進み、80年ドラフト3位で西武入団。その後、中日、ダイエーでもプレーし、通算81勝。93年に現役引退し、これまで西武、ソフトバンク、横浜などで投手コーチを歴任。左投げ左打ち。家族は久美子夫人と、長男・一輝さん(27)、長女・由紗さん(25)、二男・賢太さん(22)。

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