勘九郎&七之助 勘三郎さんの夢だった中村座記念碑に万感

[ 2015年4月10日 15:15 ]

十八世中村勘三郎を偲んで浅草公会堂前で「勘三郎の鼠小僧」像を披露する中村勘九郎、野田秀樹、中村七之助(右から)

 歌舞伎俳優の中村勘九郎(33)と中村七之助(31)が10日、東京・隅田公園に建てられた「平成中村座発祥の地記念碑」、浅草公会堂前にリニューアルされた「鼠小僧」像の除幕式を行った。

 隅田公園は、父の故中村勘三郎さんが2000年に江戸歌舞伎の復興を夢見て芝居小屋を建てた思い出の地。記念碑建立実行委員会の呼びかけに1195人から約1130万円の寄付が集まり、建立された。

 勘九郎は、「中村座の芝居テントが建った時の、喜びとさあやるぞという覚悟が一緒になった父の顔を一生忘れません。この地で(勘九郎を)襲名できたことを誇りに思う。感謝の気持ちでいっぱいです」と声を詰まらせ、万感の面持ち。七之助も、「父が逝ってから、父が愛された恩返しをしていこうと思っていたのに、また皆さんから愛をもらうといつになったら返せるか心配になる。でも、父は絶対に喜んでいると思う」と感謝した。

 一方、鼠小僧は「野田版 鼠小僧」の勘三郎さんをデザインし、浅草公会堂の入り口を見下ろすように鎮座。演出の野田秀樹氏(59)も飛び入りし、「こんな所に乗っけられて、何だよって怒っているかもしれないけれど、本当に幸せなヤツだね」と笑顔で話した。

 勘九郎も、「似ていないだろうと思っていたら、ソックリだったのでビックリ。この芝居で“おまえのやっていることは必ず誰かが見ている。そう思わないと生きていけない”という父のセリフが支えになっていて、いつも出てくる」と感慨深げ。七之助は、「新春浅草歌舞伎は若手の登竜門で、僕も16歳の時に大きな役をやらせてもらえて今がある。若手の刺激になると思うし、父が見ているからしっかりやってねと伝えていきたい」と話した。

 2人は現在、浅草寺境内の仮設劇場で「平成中村座 陽春大歌舞伎 十八世中村勘三郎を偲んで」の公演中。勘九郎は、共演している長男の七緒八くん(4)に近く記念碑を見せに行く意向で、「子供や孫に、皆さんのおかげで建ったことを伝えていきたい。父は危機感を持って芝居をしていた人なので、僕たちもいつまでも歌舞伎があると思わず危機感を持って精進していきたい」と意欲を新たにしていた。

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