片山幽雪さん死去、84歳 能楽観世流シテ方の人間国宝

[ 2015年1月14日 08:22 ]

 能楽観世流シテ方で、人間国宝の片山幽雪(かたやま・ゆうせつ、本名博太郎=ひろたろう)さんが13日午後6時18分、敗血症のため京都市上京区の病院で死去した。84歳。京都市出身。葬儀・告別式は29日午後1時から京都市左京区岡崎円勝寺町44、京都観世会館で。喪主は長男十世九郎右衛門(くろうえもん)さん。

 父は能楽師の片山博通(八世片山九郎右衛門)さん、母は京舞の人間国宝の四世井上八千代さん。5歳で初舞台を踏み、戦前戦後を能楽一筋に生きた。1985年に九世九郎右衛門を襲名、関西の観世流を代表する片山家の当主として活躍した。2010年から雅号「幽雪」を名乗った。

 芸風は質実にしてこまやか。「三老女」と呼ばれ、最奥の秘曲とされる「関寺小町」「姨捨」「檜垣」を全て手掛けた。稽古の熱心さには定評があり、自らは能の伝統を守る姿勢を示したが、若い世代の実験的演出にも理解を示した。

 94年に紫綬褒章。95年日本芸術院会員。01年に人間国宝に認定され、母子2代の人間国宝として話題を呼んだ。09年に文化功労者。能楽協会理事長など能楽界の要職を歴任した。

 長女は京舞井上流の家元、五世井上八千代さん。

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2015年1月14日のニュース