佐々木蔵之介が告白 俳優は「向いてない」「こまめにヘコんでる」

[ 2014年6月25日 10:21 ]

時代劇への思いなどを語った佐々木蔵之介

 21日に公開された映画「超高速!参勤交代」(監督本木克英)の週末興行収入(21、22日)が2億円を超え、「アナと雪の女王」に次ぐ初登場2位で好発進した。たった5日で福島から江戸までの参勤交代を命じられた弱小・湯長谷藩の奮闘をコミカルに描く時代劇。主役の藩主・内藤政醇を演じた佐々木蔵之介(46)が、本紙に今作や時代劇への思い入れを告白。政醇さながらの温厚でサービス精神旺盛な人柄にも迫った。

 サービス精神は主役の責任感からか。公開前後に何度も舞台あいさつした佐々木は自らの発案で、客席を練り歩いたり、劇中の重要アイテム・大根を観客に配ったり、ファンの写真撮影も許可。庶民派で思いやりと心意気にあふれる姿は、役柄と重なる。「来てくれた人を喜ばせたい。イベントで面白いことができないかと考えるのは、広告代理店で働いてたからかも」。全力PRは好成績につながった。

 地元・京都で2カ月撮影。コメディータッチの自由度の高い作品に「時代劇は楽しい!」と思えた。“時代劇のプロ”である撮影所のスタッフに「また来て時代劇やってな。京都の人なんやから」と言われ、感激。「作品がいいスタートを切り、少し恩返しできたかな。時代劇はやりたい」と意欲を燃やす。昨年は舞台で平賀源内を演じ、ことしは歌舞伎にも初挑戦。時代劇への愛着はどんどん増している。

 異色の経歴の持ち主だ。1浪して入った東農大を中退して翌年、神戸大に入学。実家の日本酒メーカー「佐々木酒造」を継ぐ準備として、農学部で酒米などを研究した。卒業後は企業や商品PRの手法を学ぶため大阪の大手広告代理店に就職。将来設計は万全だった。だが気付けば芸能界。「何でそんな無謀な決断をしたのか、自分でも分からない」と笑う。

 芝居は大学から。演劇サークルの舞台を見て、「この人ら遊んでるな~」と興味が湧き入部。大学2年で劇団「惑星ピスタチオ」の旗揚げに参加、卒業後も続けた。代理店では官公庁や第三セクターのイベント企画やPRを担当したため、「相手先の終業時間も早く余裕があり、劇団と両立できた」。東京での舞台出演の誘いを仕事を理由に断る中、劇団仲間の活躍に「もっと役者をやってみたい」と結局、2年半で会社を辞めた。

 その後は順調に仕事を増やすも、「今も向いてないとよく思う。セリフ覚えも早くないし、こまめにヘコんでます」。主役として現場を引っ張る機会も増えたが、「余計な緊張感は不要で、笑いは大事。みんなが楽しく実力発揮できるよう。率先してセリフを間違えてます」と関西人気質を生かしている。

 大好きな酒でも共演者との距離を縮める。今作の撮影中も「京都のお店を毎日開拓した。店の人に“うち佐々木さん所のお酒入ってません”って謝られたりして…」。そんな気安さも政酵とダブった。

 ◆佐々木 蔵之介(ささき・くらのすけ)1968年(昭43)2月4日、京都府出身。90年の惑星ピスタチオ旗揚げから、98年の退団まで全公演に参加。主演作にドラマシリーズ「ハンチョウ~神南署安積班~」、映画「間宮兄弟」など。劇団「Team申」主宰。

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