[ 2010年8月21日 06:00 ]

「リング」4部作のクライマックス、「神々の黄昏」第3幕、ジークフリート(右)がハーゲンに殺害されるシーン(C)Bayreuther Festspiele GmbH /Enrico Nawrath

 筆者がドルスト演出による「リング」を鑑賞したのは、新制作としてお披露目された06年以来のこと。当初は舞台上の歌手たちにほとんど演技が付けられていない印象だったが、最終年の今回はかなり改善されており、回を重ねるごとに音楽、歌唱、演出、演技のあらゆる面でブラッシュアップされていくバイロイトの伝統を強く感じさせるものであった。キャストもプレミエ時から大幅に変容。アルベルト・ドーメン(ヴォータン)、ランス・ライアン(ジークフリート)ら新入組の健闘に触発されてかリンダ・ワトソン(ブリュンヒルデ)ら初回から出演している歌手たちもこれまで以上にハイレベルのパフォーマンスで、全体としては“聖地”にふさわしい高水準の歌唱やアンサンブルが繰り広げられることとなった。

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2010年8月21日のニュース