[ 2010年8月21日 06:00 ]

ヨーロッパ・オペラ界の帝王への道をひた走るティーレマン

 さて、新演出の「ローエングリン」に勝るとも劣らぬほどの注目を集めたのが、今年最終となるティーレマン指揮による「リング」だ。第2チクルスの後半、「ジークフリート」と「神々の黄昏(たそがれ)」を鑑賞したが、その出来たるやまさに圧巻。指揮者を中心に歌手、合唱、オーケストラが渾然一体となりスケール感タップリの音楽空間を構築しつつ物語が進行。覆いが被された特殊な構造のオーケストラ・ピットからは時に繊細に、また時には分厚く巨大な響きが湧き上がるように紡ぎ出され、少なくとも音楽面に限っていえば、今後これを超える「リング」を体験できないのではないか、と思えるくらいの圧倒的な説得力をもって観客・聴衆に迫ってくるものがあった。

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2010年8月21日のニュース