[ 2010年8月21日 06:00 ]

見事な歌唱と演技を披露したローエングリン役のカウフマン(左)とエルザを演じたダッシュ(C)Bayreuther Festspiele GmbH /Enrico Nawrath

 今年、新たにお披露目された「ローエングリン」もその例外ではない。演出は過激な読み替えでこれまで各地の歌劇場や音楽祭で物議をかもしてきたハンス・ノイエンフェルス。指揮は今年31歳、ラトビア出身の若手アンドリス・ネルソンスとあって平凡な「ローエングリン」に終わるはずもなかったのだが、やはり現地では喧々諤々評価が大きく割れていた。

筆者は日程の都合で「ローエングリン」を鑑賞することは出来なかったが、バイロイトに詳しい音楽評論家の岡本稔氏によると「ノイエンフェルスの特質が前面に打ち出された斬新なステージとなった」という。群集をネズミに見立ててコミカルに描き出す。主要な登場人物は人間のままなのだが、群集も含めて細部にまで動きに神経が配られていたそうで、荒唐無稽な読み替えでなかったことは確かなようだ。
一方のネルソンスについて岡本氏は「流れを大切にしたなめらかな音楽作り。今年31歳、バイロイト初登場の指揮者としては立派な出来であった」と絶賛している。今秋のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の日本公演に帯同し初来日が決まっているのに加えて、来春の「東京・春・音楽祭」で同じ「ローエングリン」(演奏会形式)を指揮するとあって、日本の音楽ファンの期待も高まろうというものだ。
また、題名役の人気テノール、ヨナス・カウフマン、エルザを演じたアネット・ダッシュをはじめとする歌手陣も概ね高評価を得ていた。

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2010年8月21日のニュース