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今年の新制作「ローエングリン」のワンシーン　　（Ｃ）Ｂａｙｒｅｕｔｈｅｒ　Ｆｅｓｔｓｐｉｅｌｅ　ＧｍｂＨ／Ｅｎｒｉｃｏ　Ｎａｗｒａｔｈ

　総合芸術たる楽劇の“実験工房”といわれるバイロイト音楽祭は新プロダクションが披露されるたびに賛否両論、激しい論争を巻き起こすことがほとんど。ここでは耳に心地よく、視覚的に美しいだけのオペラは存在しないし、単に台本に忠実な演出も認められない。さまざまな試みや論議の中から新たなものが生み出され、結果的に世界のオペラ界の牽引車的な役割を果たしてきた。これこそがワーグナーが目指した理想の現代における具現化であり、バイロイトの精神そのものなのだ。