【大学スポーツ】慶應スポーツ新聞会

慶應義塾大学【有終の美を飾れ!秋大会開幕特集】内野カルテット

[ 2017年9月12日 05:30 ]

今季ラストシーズンを迎える仲の良い4人(C)慶應スポーツ新聞会
Photo By 提供写真

 慶大が目指す“隙のない野球”。それを体現するのがファースト清水翔太(総4)(以下、清水)、セカンド倉田直幸(法4)(以下、倉田)、ショート照屋塁(環4)(以下、照屋)、サード瀬尾翼(理4)(以下、瀬尾)からなる堅守の内野カルテットだ。開幕前特集第2弾では、全員が今季ラストシーズンを迎える仲の良い4人にこれまでの軌跡と優勝への想いをうかがった。

 ―この内野4人で遊んだりということはありますか?
 倉田 ないです。基本的に仲悪いので(笑)
 照屋 でも、普段の練習の中で守備以外の時でも固まる傾向はあります。
 倉田 バッティングの班は一緒にしたいとかはあります。
 清水 俺バッティング一人だけ違うわ(笑)

 ―遠征がありましたが印象に残った場所はどこですか?
 照屋 熊本は野球好きって感じがありましたね。観客も多かったし、ナイターという普段やらない環境でもやったので、それは結構良かったです。3塁ベンチから見える山が麗でした。
 瀬尾 馬刺しはおいしかった。
 清水 宮崎牛も美味かった。

 ―瀬尾選手は熊本でホームランを打ちました
 瀬尾 地元が近いということで、嬉しかったですね。

 ―春の結果を振り返ってどんな想いがありますか
 清水 春リーグあと一勝のところで勝てなかったので、個人的にベストナインとったりもしましたけど、自分の成績云々よりも一勝掴めなかったことが悔しかったです。僕以外もみんなそう思ってると思ってるはずなので、夏はそこを考えて悔しい思いを持って練習できていると思います。みんなが悔しい気持ちを持ってやっているので、秋は期待できると思います。

 ―清水翔選手と倉田選手はベストナインを取られました
 清水 選ばれるとは思っていなかったので、光栄です。
 倉田 取れたのは嬉しいですけど、納得いく結果ではなかったです。早慶戦でヒットを打てなくて、自分が打てなかったから負けたわけではないかもしれないけど、そうかもしれないから、大事な試合で打てるようにしたいです。

 ―倉田選手は目標であるノーエラーを達成したことは自信になりましたか
 倉田 他のポジションに比べるとあんまり難しい打球が来てないていうのがありますけど、そういう打球を丁寧にさばけたのが良かったかなと思います。

 ―瀬尾選手は春にレギュラーを一気につかみましたが、どこが要因だと思われますか
 瀬尾 守備を売りとしてやってきて、その守備力を伸ばしつつも打撃をちょっとずつ人並みに持ってこられたことと、小技ですね。バントだったり四球だったり、つなぎ役として機能できたことが良かったのかなと思います。

 ―隙の無い野球を内野の4人は体現していると思いますが、どうですか
 清水 この3人は隙ないけど、俺隙だらけ。最近内野やってないから、外野やってて「こいつらうまいな」って思いました。

 ―清水翔選手は個人的に内外野どちらがやりたいですか
 清水 ファーストのほうが楽だし、慣れてはいるけど、チームに必要とされてる以上どこでもやらなきゃいけないなという使命感はあります。

 ―キャンプではチームでテーマを設けましたか?
 照屋 それまでは個人個人の能力を上げるところに重点を置いてやるんですけど、キャンプになるとチームプレイとか連係プレーの精度をどんどん高めていくという期間なので、チームプレイにプラス時間もあるので個人の能力も上げつつ、全体的なレベルアップですね。

 ―それぞれキャンプで重点的に取り組んだことを教えてください。
 清水 内野の連携も入りながら、とにかく人並みに近くライトを守れるようにやっていました。バッティングは振れるようにマスコットバット(素振り用につくられた重量のあるバット)を使ったりしました。
 倉田 僕は逆方向にバッティング練習するように意識しました。特に何かの能力を上げようというよりは、何か取り組んでみようという意識でした。
 照屋 僕しっかりバットを振りました。打席で強いスイングができるようにしました。
 瀬尾 僕は右打ちの練習をしていました。ライト前ヒットを打つ練習をしていました。

 ―キャンプ中で印象に残ったことは
 照屋 大雨が降って、これは試合中止だろうなと思ったところから試合再開したところですね。それでも試合をやって、ちゃんと勝って終わらせました。
 倉田 隙がないねえ(笑)
 照屋 どんな環境でも気持ちを入れて戦う姿勢が生まれてきたね(笑)

 ―それぞれ慶大に入ろうと思ったきっかけは何ですか?
 清水 僕は六大学で野球やりたいなと思っていて、正直僕のレベルだと、法政や明治のセレクションに受かってレギュラーとるのは難しいって思ったのがまずありました。その中で指定校がある早稲田も言われたんですけど、どうせなら野球も勉強も一番上を目指したいということで、慶應を目指しました。
 ―勉強は大変でしたか?
 清水 AOだったので面接練習はみっちりやりました。すごいしんどかったです。

 ―倉田選手のきっかけは何ですか?
 倉田 僕は父親の影響が大きいです。父親が慶應受けてダメで、結局入れなかったんですけど父親が慶應行って野球やってくれたらなっていう思いがあったらしく、その夢を僕が託されて、今試合に出られているという感じですね。

 ―お父様はやはり喜ばれましたか
 倉田 そうですね。(静岡から)毎試合見に来てくれているので、良かったです。

 ―照屋選手と瀬尾選手のきっかけは
 照屋 もともと六大学でやりたかったんです。高校野球引退したとき法政明治立教や早稲田でやる自信があまりなく、セレクションもあったので、一浪してでも慶應に入って野球をしようと思いました。
 瀬尾 僕は勉強も野球も高いレベルでやりたいなと思って、ちょうど指定校推薦があったので、慶應に決めました。

 ―瀬尾選手は4人の中で唯一の理系の学部ですが今も勉強は大変ですか
 瀬尾 大学に入ってからのほうが勉強しています(笑)
 倉田 そういえば面白い事件があって、瀬尾が「細胞が死んじゃう」って言って夏休みに授業に行きました(笑)
 清水 「俺が研究室に行かないと細胞が死んじゃう」って(笑)
 瀬尾 ペットを飼うように細胞を飼ってる。僕が行かないと餌がなくて死んじゃうんで。
 清水 っていう言葉を残して朝練習して速攻消えました(笑)
 照屋 1か月前くらいに細胞死んじゃったってさらっと言って。それは隙を見せたわけではなく?(笑)
 瀬尾 隙を見せたわけではない(笑)

 ―慶應のイメージは今と昔で変わりましたか
 照屋 基本的にはイメージ通りです。
 倉田 僕は全然違いました。優雅でエレガントな人が集まるみたいな。でもグランドにいたらわかると思うんですけど、やってるメンバーは本当に必死にやってる。スカしてやっているわけではないです。

 ―慶應はそう見られますよね
 瀬尾 ポスターが表してる(笑)
 倉田 ポスターとのギャップだよね。ポスターは割と「余裕っしょ」みたいなんですけど全然そんなことはない。毎回必死にやってるます。
 清水 あれがオモテ面。実は一番やってんじゃないのかな。

 ―照屋選手と倉田選手は浪人していますが、不安などはありましたか?
 照屋 そうは言っても僕は半年浪人だから。9月入学ってやつです。それでもしんどかったはしんどかったですね。
 倉田 正直試合に出れるとは全然思ってなくて、ベンチに入れればいいかなくらいのスタンスで受験して、入ってきました。

 ―みなさんが初出場した試合を振り返ります。照屋選手は1年春の開幕試合でしたが、緊張はありましたか
 照屋 緊張したんですけど、試合展開がワンサイドゲームという感じで、ベンチも勢いがあったので、それに乗っかって楽しく打席に立ちました。

 ―出場できるとは思っていましたか
 照屋 オープン戦からも走塁と守備固めで毎回出てたので、そこではあるかなと思っていました。

―清水翔選手は初出場が2年生の春でしたが、初ヒットは秋まで出ませんでした。悔しい気持ちはありましたか
清水 全然出れると思ってなかったし、守備固めといってもファーストなので出る機会もないだろうなと思っていました。なんとかしてチームに貢献したいなと思いながらベンチに入っていて、なんとか秋に結果を残すことができたというのは、粘って努力した結果だと思います。

 ―倉田選手は2年生の秋に初出場がスタメンで初ヒットも打ちました。どういう思い出がありますか
 倉田 ヒットを打った思い出と打点を挙げた思い出と、エラーもしたのでその思い出もあります。いろんなことがあった試合です。

 ―その時はここまで来れると想像していましたか
 倉田 入学当初は全然思ってなかったです。でも、やっていくにつれてやれるかなという具合で徐々にですね。

 ―それが確信に変わったのはどのあたりですか
 倉田 スタメンより、その後の明治の試合で競った試合に守備固めで出たんですけど、それは守備を買われているのかなという思いがあったので、そこからですね。

 ―瀬尾選手は3年生の秋まで出場がありませんでしたが、やはり苦しい思いでしたか
 瀬尾 リーグ戦に出たいという思いはずっとあったので、代走でも出れた時はすごい嬉しかったです。

 ―スタメンで出れるという自信はいつ付きましたか
 瀬尾 スタメンで出れるという自信はずっとなくて、春にシミショー(清水)がサードやってた時、自分はショートの2枚目かなと思ったんですけど、シミショーがファーストに行ってくれてオープン戦で出るにつれてスタメンで出れるのかなと感じていましたが、自信はなかったです。

 ―続いて皆さんがここまで印象に残っている試合はありますか
 照屋 3年春の明治の1戦目です。確か1―0で勝ってるときにピッチャーが加藤拓也さんで牽制のサインを出したら暴投になってしまい、それで犠牲フライで同点。あれは強烈に残っています。あそこで牽制出すべきじゃなかったなと後悔はかなりしました。
 瀬尾 僕は1年生の春の早慶戦で、有原さん(早大・現日本ハム)から竹内さん(H27卒・現JX−ENEOS)が2ランホームラン打った試合です。あの興奮というか、盛り上がりがすごかったので、あの試合はとても印象に残っています。
 倉田 僕が印象に残っているのは、去年の春の明治の2回戦でセカンドフライを落としたときです。あれはもう絶対忘れないです。あそこからゲームの流れが一気に向こうに行っちゃったという感じなので、人生最大のエラーでした。
 清水 やっぱ僕は今年の春の法政の1戦目です。結果的に見れば5打数3安打ホームラン1本でいい結果でしたけど、しょうもない打球を後ろにそらして、そこから勝ち越されて、守備のミス一つで1点取られてすごく重く感じました。悔しかったです。サヨナラと思った打球も2つ取られて、すごい悔しくて思い出に残っている試合です。

 ―早慶戦で満塁ホームランを打ちましたが、それよりですか
 清水 あれはいい意味で歴史に名を残せたというか、早慶戦で満塁ホームランって僕が3人目だったらしくて。
 照屋 仁志さん(元早大)の逆転サヨナラ満塁ホームランとかあったね。
 清水 そうやって打てたことはすごく嬉しいなと思いました。
 倉田 早慶戦でホームラン打てるの早慶しかないもんね。
 照屋 3人目!?
 清水 別当さん(S26卒)も打ってないよ!(笑)
 照屋 大久保監督も打ってない。
 倉田 由伸さん(H10卒・現読売巨人軍監督)も打ってないよ。
 照屋 由伸さん超えたな(笑)
 清水 でもあの試合は全部タツル(柳町達(商2))にかっさらわれた(笑)

 ―対談ということで、コイツのココがスゴイ!というところを挙げてください
 照屋 シミショーの勝負強さ。倉田のツッコミの鋭さ。瀬尾の……声?(笑)うーん、オフに誘いを断って勉強する姿勢。ストイックさ。

 ―瀬尾選手の声というのは
 倉田 聞いたらわかる(笑)
 清水 練習に来ればわかる(笑)
 瀬尾 はい、そういうことで(笑)
 倉田 瀬尾がアウトをとるたびに、スタンドで「フィー!」って(笑)瀬尾が練習中に「フィー!」って言うから、アウトにした時も「フィー!」って言います(笑)
 清水 ファースト超聞こえる(笑)
 瀬尾 なんなんですかね(笑)
 倉田 普通なら、「照屋イイね!」って言ったら「うぃ!」みたいに返すんですけど、「瀬尾イイね!」「フィー!」って(笑)
 瀬尾 それに耳を傾けてくれれば。(笑)

 ―照屋選手のスゴイところは
 倉田 照屋は冷静なところですね。淡々と野球をやっています。

 ―守備では肩や範囲などいろいろな能力が必要ですが、それぞれ一番を選んでください。まず肩が一番強いのは誰でしょう
 清水・照屋 ジイ。(倉田を見ながら)

 ―なんでジイと呼ばれてるんですか?
 倉田 いやちょっとわからないです。(笑)
 清水 言い出しっぺは俺なんだけど、2浪してておじさんだから「オジイ」って呼んでて。セカンドに「ジイ!」って言ってるんで。聞いていただければ。「うぃ!」って返ってきます。「フィー!」ではなく(笑)
 瀬尾 それは俺な(笑)

 ―試合中呼び方が変わったりするんですか
 照屋 いや、基本的に仲悪いので呼びません。(笑)
 倉田 基本さん付けですね。(笑)
 清水 塁さん!塁さん!倉田さん!瀬尾さん!
 瀬尾 フィー!(一同爆笑)

 ―守備範囲では誰になるでしょうか
 瀬尾 守備範囲は照屋ですね。沖縄の野生児なので。バネを使って。
 清水 変な取り方するけどね。(笑)

 ―エラーしないと言う面では誰でしょうか
 一同 瀬尾。
 照屋 堅実さ。
 瀬尾 僕エラーしたら試合に出れないので。
 倉田 フィー!って感じで?(笑)
 瀬尾 確かに「フィー!」って感じですね(笑)

 ―道具でこだわっているものはありますか?
 倉田 バットでヒッコリーっていうメーカーを使っているくらいですね。メジャーリーガーからアマチュアまで頼んだら同じ素材のちゃんとしたいい木を使ってくれるらしいので、使っています。
 瀬尾 僕はハイゴールドをこよなく愛しています。

 ―内野手の魅力とは
 瀬尾 スピード感。
 倉田 連携とか。
 清水 うちの二遊間の連携超キレイですよ。

 ―間も無く開幕ということで、ラストシーズンになりますがやり残したことはありますか
 倉田 (優勝)パレードです。
 清水 優勝しないとね。

 ―コイツだけ打ってやりたいという投手はいますか。
 倉田 みんな打ちたいです。
 清水 同じ高校なので齋藤(明大)とか。
 瀬尾 そうですね、同じ高校の黒岩(早大)はやっぱり打ちたいです。

 ―個人的な目標はありますか
 清水 春の成績を上回れればいいです。打点とか稼いだとおもんですけど、それでも秋はいい場面で回してくれると思うので、勝負強くいきたいなと思います。
 倉田 3割打ちたいです。
 照屋 個人的にもやっぱり優勝したいです。
 瀬尾 守備率10割と出塁率4割。打率は気にしません。

 ―最後になりますが、秋への意気込みをお願いします。
 瀬尾 優勝します!
 倉田 優勝したいです!
 清水 優勝します!
 照屋 優勝します!
 清水 (笑)でもそれしかないんだよね。個人の成績とかより、やっぱり優勝したいです!

 ―お忙しい中ありがとうございました!(慶應スポーツ新聞会 取材:尾崎崚登、千綿加華、写真:小林歩)

続きを表示

この記事のフォト

バックナンバー

もっと見る

慶應スポーツ新聞会 公式ホームページ