杉本正氏 ドラフト1位・前田悠は来春キャンプで1軍配置を 新星がチームに変化を生む

[ 2023年12月5日 06:00 ]

背番号「41」を披露するソフトバンク・前田悠伍(撮影・岡田 丈靖)
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 【杉本正 鷹論】ソフトバンクはドラフト1位で大阪桐蔭・前田悠伍投手を指名した。聞けば1年目から1軍起用も考えているという。ポテンシャルが高いと期待しているのならば、ぜひ、来春のキャンプは1軍に置いてほしいと思う。

 高校生なので最初は3、4軍からスタートさせるのはスタンダードだ。体力的に無理だと考え、来季は体づくりに専念させるのならば異論はない。ただ、そこには前田と同等かそれ以下の選手がいるだけだ。2月の1カ月、1軍に置けば1年分の成長があると思う。

 1982年に高卒新人として西武に入り、チームメートとなった工藤公康は、ファームを経験していない。よーいドンから1軍にいた。最初はリリーフだったが、次第に置かれた環境に適応してローテーションに入り、エースへと成長した。

 私が西武のコーチだった99年に同じく高卒ルーキーで入った松坂大輔も多少、迷ったが1軍のキャンプに置いた。不安もあったが、すぐに杞憂(きゆう)だと分かった。松坂は次第に自分で考えて動くようになり、マスコミだけではなく、首脳陣も不在の中、ブルペン捕手と2人だけで投球練習をしていたこともある。当時の東尾修監督も投げることには口出ししなかった。

 コーチに教わることは当然、大切なことだ。ただ、同じタイプの1軍の投手から直接、アドバイスをもらう機会もできる。それだけの選手なら、その環境に適応するはずだ。

 同じ左腕で来季、期待しているのは大関友久。今年は開幕投手にも指名された。小久保監督は有原、和田に対して、早くも開幕ローテーション入りを告げたという。ならば大関にも伝えてほしかった。10勝できる投手だし、壁を越えればさらなる飛躍さえ、期待できる。新監督は奮起を期待して、あえて名前を挙げないのかもしれないが「ローテは1年間、外さない」と言って信頼を置くやり方もある。それくらい優遇したっていい。彼はチームの大黒柱になる能力を秘めた先発投手だ。

 そしてもう一人、今季ルーキーとして中継ぎで躍動した大津亮介。今季はなぜ、先発起用しないのか首をひねった投手だが、来季は先発に挑戦するそうだ。球種が多彩で制球力、駆け引きを覚えれば十分に通用する。3年連続で優勝を逃した。新しい戦力を生み出さなければ、チームは変わってこない。どれだけの新星が生まれるのか、期待している。 (本紙評論家)

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