どうなる?2度目「現役ドラフト」12・8開催 昨年は大竹、細川ら潜在能力開花 今季の目玉候補は?

[ 2023年12月5日 06:00 ]

現役ドラフトの流れ
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 今年はどうなる?「現役ドラフト」。出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させるための「現役ドラフト」が、8日に2度目の開催を迎える。昨年初開催され、環境を変えたことで新天地で期待以上の活躍を見せる選手がいた一方で、指名された12選手のうち6人が戦力外となった。4日には、第1回から実施方法に大きな変更がないことが判明。開催直前に、徹底分析する。(スポニチプロ野球取材班)

 ソフトバンクから阪神に移った大竹はクレバーな技巧派で、制球力と配球を駆使してセ・リーグで開花した。剛速球ぞろいのソフトバンクでは日の目を見ることがなかったが、自己最多でリーグ2位タイの12勝(2敗)をマーク。過去2年勝利がなかった左腕が日本一の立役者になった。

 中日・細川は和田打撃コーチとの出会いが転機となった。DeNA時代は6年間で通算41安打だったが140試合に出場し、ともにチームトップの24本塁打、78打点。未完の大器が新たな指導の下で自身のスイングを確立させ、4番も務めた。

 環境を変えたことで2人が花開いた。さらに、出場試合数を前年から大きく増やしたのは巨人・オコエ(6→41)、広島・戸根(9→24)、ロッテ・大下(5→23)だった。

 「現役ドラフト=ラストチャンス」の現実もあった。指名された12選手のうち6人が戦力外となった。それでも日本プロ野球選手会には「移籍して、キャンプからチャンスをもらえた」という声が届き、同会の森忠仁事務局長は「本人は納得ができているんじゃないかという思いはある」と語る。

 戦力外の6人のうち、昨年1軍出場のなかった楽天・正随、ヤクルト・成田は出場機会が与えられた。DeNA・笠原、オリックス・渡辺、ソフトバンク・古川(育成再契約)は出場試合数を昨年から減らし、日本ハム・松岡は2年連続で1軍出場なし。違う環境で「最後の挑戦」をできたことは意義深い。

 注目のリストアップされる選手、今年はどうなる?各球団が12月1日に任意で2人以上のリストを提出した。昨年と同じで外国人、FA資格を持つ選手、育成選手、来季年俸5000万円以上の選手(1人に限り選出可能)らは対象外とされた。

 「掘り出し物」は出てくるのかどうか。条件に当てはまり、予想される注目選手では、DeNA・桜井がいる。ここ2年は1軍で登板がなかったが、21年には30試合に救援登板するなど潜在能力はある。今季2試合登板のロッテ・佐々木千や、今季は1試合の登板に終わったヤクルト・金久保らも、対象内の選手では魅力的だ。

 森事務局長は「今年もどんな選手がリストアップされて、来シーズンどれだけの選手が活躍できるか楽しみでしかない」と期待する。

 昨年12月9日に手探りの中で開催された第1回から、実施方法の大きな変更はない。2年連続で指名対象選手のリストを各球団が提出したが、森事務局長は「在籍年数と登録日数から(自動的に)リストアップされるものになったらいい。出場機会に恵まれていない選手がリストアップされる」と見据える。開催時期や運営方法など検討課題は多い。選手からは同制度を歓迎する声が上がっており、より多く、チャンスをもらえるよう望んでいる。

 ≪ルール改正 3人以上義務付けられる球団も≫日本野球機構(NPB)とプロ野球12球団による実行委員会で、ルール改正が確認された。各球団がリストに加える対象選手は2人以上だが、来季年俸が5000万円以上、1億円未満の選手を対象に入れた球団は3人以上のリストアップが義務付けられることとなった。若手選手の移籍を活性化させる狙いで変更した。

 ▽現役ドラフト 出場機会に恵まれない選手の移籍を促すため、昨年12月9日に非公開で初開催された。12球団は指名対象として、2人以上の支配下登録選手のリストを提出。各球団が最低1選手、最大2選手を獲得できる。昨年は各球団1人の指名だけで、12球団12選手の移籍が決まった。かつては同様の趣旨から70年から72年にかけて選抜会議(トレード会議)、90年にはセレクション会議が2度行われたが、定着せず。

 ◇現役ドラフトの対象から除外される選手◇
(1)野球協約第82条に規定する外国人選手
(2)複数年契約選手
(3)野球協約第87条に規定する参稼報酬の金額(消費税および地方消費税別途。以下同じ)が5000万円以上の選手。ただし1人に限り、参稼報酬の金額が5000万円以上1億円未満の選手を対象選手にすることができる
(4)過去にFAの権利を行使したことがある選手
(5)FA資格選手
(6)育成選手
(7)前年の年度連盟選手権試合終了の日の翌日以降において、選手契約の譲渡により獲得した選手
(8)シーズン終了後、育成から支配下契約に切り替えられた選手

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