長嶋さん「勝つ!勝つ!勝つ!」ファン感サプライズ登場で阿部巨人にエール

[ 2023年11月24日 05:30 ]

長嶋終身名誉監督は球場中の拍手に応える(撮影・西川祐介)
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 巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(87)が23日、東京ドームで行われた「ファンフェスタ2023」にサプライズ登場した。阿部慎之助新監督(44)らナインの前で、来季の4年ぶりのリーグ優勝へ「勝つ!勝つ!勝つ!」と大号令。昨年9月に自宅で転倒して現在も都内の病院に入院中のミスターが、21年12月8日のファン感謝祭(両国国技館)以来715日ぶりにファンの前で肉声を発した。 

 誰もが予期せぬ、超サプライズだった。ファンフェスタの最終盤。東京ドームの三塁ベンチ横からスーツ姿で車いすに乗った長嶋終身名誉監督が登場すると、球場全体がどよめき、大歓声に包まれた。

 サプライズはまだ終わらない。阿部監督から「今日は長嶋終身名誉監督が来てくださり、ぜひ、皆さまの前であの言葉を頂きたいと思っております」とお願いされると、左手でマイクをぐっと握りしめた。
 「来年は絶対、勝とう。大いに勝とう!勝つ!勝つ!勝~つ!」

 伝説のフレーズの再現に、ドームが再び熱狂に包まれる。3万9527人の観衆のみならず、その場にいた誰もが、魂の叫びに胸を熱くした。

 昨年9月に自宅で転倒し脳内出血を患い、現在も入院中。だが、節目の一年を前に、ありったけの思いを伝えたかった。球団創設90周年となる来季を控え20年以来のリーグ優勝、12年以来の日本一奪回を誰よりも願う。

 阿部監督は入団1年目の01年に、開幕戦からスタメンマスクを任せた愛弟子だけに、直接会って言葉をかけたかった。ファンの前で肉声を発するのは、21年12月8日のファン感謝祭以来、約2年ぶり。恩師からのこれ以上ない激励に、阿部監督は「新しくなったジャイアンツを見ていただき、喜んでいただき、来年の今頃は皆さんと喜びを分かち合いたい」と受け止めた。

 宮崎秋季キャンプ中の2日にも、阿部監督を電話で激励していた。その際には「2年連続Bクラスだし、厳しくやるのは当たり前だ」と監督としてあるべき姿を説いた。前日にはオーナー会議に出席した山口寿一オーナーがミスターの近況について報告。「非常に元気な声で阿部監督に期待すると。新しい野球、面白い野球をやってくれるんじゃないかと言っていました」と明かしたばかりだった。

 グラウンドでは菅野、岡本和ら選手たちとも固い握手を交わした。新体制での巻き返しに期待する巨人ファンにとっても、体調が心配されていたレジェンドの登場は、最高のニュースとなった。もう、ぶざまな姿は見せられない。2年連続で4位に沈んだチームに、闘魂が注入された。(川島 毅洋)

 ▽長嶋氏と「勝つ!勝つ!勝つ!」 監督時代の94年10月8日。同率首位で迎えた中日とのシーズン最終戦前のミーティングで「俺たちは勝つ!いいか、もう一回言うぞ、俺たちは勝つ!勝つ!」と選手を鼓舞。伝説の「10・8」を制してリーグ優勝を果たした。その後も07年2月の宮崎キャンプ、同年3月の激励会でも原監督らに向け「勝つ!勝つ!勝つ!」と連呼して激励。15年11月23日の高橋由伸監督就任セレモニーでは「勝つ勝つ勝つ」と直筆メッセージを入れたボールを手渡した。

 【長嶋氏の経過】
 ▼22年8月20日 東京ドームで阪神戦を観戦。試合は1―5で敗れる。
 ▼9月6日 早朝に都内の自宅で体調不良を訴え、救急車で緊急搬送。
 ▼7日 球団関係者が容体について、脳内に出血が見られたものの重篤な状態ではなく、意識ははっきりしていると説明。
 ▼9日 次女の三奈さんがコメント。自宅で転倒した際に後頭部を打ったことを明かし、8日からは手足のリハビリを開始したと報告。
 ▼23年3月31日 東京ドームを訪れ、中日との開幕戦を観戦。22年9月の入院以降、初めて公の場に姿を見せた。試合前に原監督やWBC世界一を達成した岡本和、大城卓、大勢、戸郷を激励。
 ▼11月4日 侍ジャパン・井端監督に電話で「勝つだけだから。自分の色を出して、新しい侍ジャパンを築いてくれ」と激励。

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