楽天・銀次 星野仙一さん形見のネクタイで引退会見 アンバサダーで「東北盛り上げていく」

[ 2023年11月23日 05:15 ]

星野仙一氏からもらったネクタイで会見に臨んだ銀次(撮影・光山 貴大)
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 涙はなかった。楽天の銀次内野手(35)が仙台市内で引退会見。岩手県出身の「みちのくの安打製造機」は、晴れやかな表情で18年間のプロ野球生活を振り返り、生まれ育った東北への感謝を口にした。

 「今年でユニホームを脱ぎます。皆が想像できないぐらい凄く楽しかった。感謝の気持ちしかありません」

 「人を笑顔にする」をモットーに野球を続けてきた。11年の東日本大震災を機にその思いは強くなり、生え抜き最多の通算1239安打全てに「東北魂」を込めた。

 今季終了後、来季構想外となり、地域振興や広報活動を担うアンバサダー就任を打診されたが「心のどこかに火は残っている」と現役への思いは簡単に捨てられなかった。葛藤を抱える中、家族と被災地を巡った。「“東北から離れてほしくない”という声が多かった。選手じゃなくなっても、一人の人間として今まで以上に被災地に寄り添っていく」と「楽天・銀次」での引退を決断した。

 13年のリーグ優勝と日本一を「やっと東北に笑顔を届けられたと思った。一生忘れない」と振り返る。当時の星野仙一監督の「どんな時も下を向かず明るくやれ!」という教えを最後まで貫いた。この日は恩師が生前愛用していた形見のネクタイで会見に臨んだ。

 第二の人生のスタートに「やりたいことはたくさんある。これからも東北を盛り上げていく」。将来的な指導者への転身にも「興味は凄くある」と言った。会見の最後は「つらいことも悔しいこともたくさんあると思うけど、一緒に前に進みましょう」とファンにメッセージ。銀次はいつだって東北とともにある。(重光 晋太郎)

 ◇銀次(本名赤見内銀次=あかみない・ぎんじ)1988年(昭63)2月24日生まれ、岩手県出身の35歳。盛岡中央から05年高校生ドラフト3巡目で楽天入団。捕手として入団し、後に打力を買われて内野手へ転向して、13年に打率.317で球団初のリーグVと日本一に貢献した。14、17年ベストナイン、17年ゴールデングラブ賞。1メートル74、78キロ。右投げ左打ち。

≪楽天・銀次と一問一答≫
 ――家族の反応は。
 「いろんなことにチャレンジできるので楽しみだねと言ってくれた。子供たちは“野球やめるの?”という感じだったけど“ちゃんと野球は教えるからね”と言いました」

 ――アンバサダーとしての活動は。
 「野球教室やイベントを開いたり。参加した子供がプロ野球選手になってイーグルスに入ってくれることが夢。選手が被災地に行けば身近に感じてもらえると思う」

 ――印象深い打席は。
 「今年、1軍に上がって最初の打席の声援は忘れない。うるっときた。幸せを感じた」

 ――野球人生の中で自慢できることは。
 「インコースのさばき方ですかね」

 ――今江新監督が率いるチームにエールを。
 「若い力で一つになって、優勝して東北を盛り上げてほしい。自分もサポートできれば」

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