球団アドバイザー黒田博樹氏に単独インタビュー 若ゴイへの提案は「強制でない。取捨選択は個々の判断」

[ 2023年11月23日 06:15 ]

<広島日南キャンプ>長谷部(左)のピッチングを見つめる黒田球団アドバイザー(撮影・奥 調)

 広島OBで球団アドバイザーを務める黒田博樹氏(48)が22日、スポニチの単独インタビューに応じた。前日21日まで約2週間にわたって宮崎・日南で実施した秋季キャンプでは、その助言をもとに多くの若手投手がフォーム改造や新球習得にチャレンジ。日米通算203勝を誇るレジェンドは「提案はしても強制ではなく、取捨選択は個々の判断。時間は限られている。何かの手助けになれば」と強調した。 (取材・構成=江尾 卓也)

 ――球団アドバイザーとして精力的に活動していた。
 「自分なりに時間を見つけて投手中心に見てきましたが、凄く楽しみな選手がたくさんいる。そんな印象ですね。それに秋のキャンプを見ていると、みんな必死だと感じる。頑張ってもらいたいし、少しでも力になりたいと思っています」

 ――この秋は秋季練習から参加し、選手との面談にも入った。
 「秋は絶対に大事ですから。面談も凄く大事。僕はそう思っています。方向性を示してあげるという意味で」

 ――秋のキャンプでは黒田アドバイザーの助言を受け、益田や長谷部ら若手投手が腕を下げるフォーム改造にトライしていた。
 「誤解してほしくないのは、強制ではないということです。選手にやらされている感があってはよくない。提案はしましたが、取捨選択は本人の自由。早めにトライしてうまくいけばいいし、そのフォームが合わないと思えば戻せばいい。合わないと理解することも収穫であり、このタイミングだからこそできることですよね」

 ――チャレンジを継続するしない…も。
 「もちろんです。例えば益田ですが、腕を少し下げたことで回転軸が変わり、回転数や回転効率の数値が上がりました。あとは投げたフィーリングと打者の反応を見て合っているか否か、継続するしない…を本人が判断すればいい。そういったチャレンジは秋にしかできないものなので。長谷部も同様です」

 ――遠藤、河野のツーシーム習得も同じ。
 「そうです。打者と対戦し“これはいける”“握りを少し変えないといけない”“マイナーチェンジしないといけない”などの判断を、秋の間にしておいてほしいんですよ」

 ――なるほど。
 「彼らは来春、ヨーイドンでスタートダッシュを切らないといけない立場だと思うんです。春の時点では迷いをある程度捨てておいてほしい。これだ…と決めてオフに入ってほしいし、春のキャンプにも同じマインドで臨んでもらいたいのが一番。取捨選択は彼らの自由でも、いろんな引き出しを提供したいし、手助けができればな…と」

 ――若手選手に伝えたいことは。
 「与えられた時間、チャンスはたくさんない。時間は限られているということですね。1年目であっても、来年になればまた好投手がたくさん入団する。今季はルーキーとして注目されても、来季は必然的に新戦力に目がいく。時間がないんですよ。だからユニホームを着ている間に早くそれに気付き、何か変えられるチャンスがあれば。それが今回のフォーム見直しなど、違うことにチャレンジしてみるということ。それを春のキャンプでやってほしくない。彼らには秋のキャンプのうちに打者の反応を確認し、ある程度明確な方向性を持って、来シーズンに向かってスタートしてもらいたいと思っています」 (終わり)

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