苦境でこそ真価問われるロッテ投手陣の一体感 ブルペンの「柱」不在乗り越え、実りの秋を

[ 2023年8月12日 07:30 ]

ロッテ・沢村
Photo By スポニチ

 またもロッテに激震が走った。今月2日にコンディション不良のため出場選手登録を抹消された沢村が都内の病院に検査入院し、「可逆性脳血管攣縮(れんしゅく)症候群」と診断されたことが10日に発表された。脳の血管の攣縮により、激しい頭痛を起こす病気で、既に退院してジョギング、キャッチボールなど軽い運動を再開しているが、今月末までは強度の高い運動は禁止されているという。

 沢村は7月30日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)で日米通算1000登板回を達成。この試合ではサヨナラ負けを喫したが、前日29日の同戦は1回を無失点で今季14ホールド目を記録していた。球団発表では7月下旬ごろから頭痛の症状を感じていたとのことなので、症状を抱えたままマウンドに立ち続けていたのだろうか。

 大リーグを経て3年ぶりに復帰した今季は29試合で4勝3敗、2セーブ14ホールド、防御率5・14。その数字以上に存在感は大きい。若手投手にブルペンの様子を尋ねると、必ずと言っていいほど「益田さん、沢村さんが良い雰囲気をつくってくれているので…」という答えが返ってくる。選手会長でもある益田とともにリーダー役を担っている。

 ロッテ復帰時に球団公式YouTubeにアップされた映像にはファンから「伝説の剣豪が帰還したような雰囲気」というコメントが寄せられた。確かに時に人を寄せ付けないようなオーラを発することはあるが、素顔はわりとフレンドリーで、トレードマークの長髪を切った時には1度、ベンチ裏に引き上げた後に報道陣の前に戻ってきて帽子を取り「カッコいいでしょ?」と大サービス。監督待ちする記者の輪に突然入り込んできたこともあった。人間味あふれるキャラクターが明るい雰囲気をつくり、その練習に取り組む姿勢や発する言葉が若い投手陣に好影響を与えていることは間違いない。

 「可逆性脳血管攣(れん)縮症候群」は筋トレが発症の引き金になることもあるらしい。日々、練習を積み重ねてきたことが災いとなったのなら悲しいことだが、沢村本人も「完治すると説明を受けた。しっかり治療していきたい」とコメントしているので、まずは早い回復と復帰を願っている。

 先発の柱である佐々木朗が「左内腹斜筋損傷」で離脱、そして勝ちパターンの一角を担う沢村も…。チームが厳しい状況には変わりないが、救援陣で言えば、昨年59試合に登板して34HPの東條が復活し、4日の楽天戦(楽天モバイル)でプロ初セーブを記録、前オリックスの沢田も育成契約から支配下契約を勝ち取り、9日の古巣オリックス戦で移籍後初登板を果たすなど明るい材料もある。何とか暑い夏を乗り越え、実りの秋を迎えることを期待している。(ロッテ担当・大内 辰祐)

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年8月12日のニュース