楽天・岸　地元・仙台で初完封！車両が渋滞に巻き込まれ用具届かず…試合開始1時間46分遅れも快投

パ・リーグ   楽天5―0オリックス （ 2023年8月11日    楽天モバイル ）

＜楽・オ＞完封勝利にガッツポーズする岸（撮影・白鳥　佳樹）
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　午後10時23分。最後の打者を打ち取った楽天・岸は両腕を夜空に突き上げた。21年3月30日のロッテ戦以来、864日ぶりの完封勝利。生まれ故郷の仙台では82試合目で初の完封で「最高ですよ。完封できるチャンスなんてめったにない。仙台で何とか達成したかった」と声を弾ませた。

　忘れられない勝利になった。この日は福岡からの移動試合。選手は午前中の飛行機で仙台に滞りなく移動したが、試合で使用する野球道具が球場に届かない。球団によると道具は朝の便で羽田空港まで空輸されたが、その後の陸路でトラックが東北自動車道の事故渋滞に巻き込まれたという。午後4時半に開始時刻を同7時に遅延すると発表したが、さらに同7時45分へ延期。結局、1時間46分遅れで試合が始まった。

　岸もさぞ気をもんだと思いきや百戦錬磨のベテランは静かにプレーボールを待った。「雨でいつ始まるか分からない状況でもなかった。逆に始まる頃には気温が下がってよかった」。自慢の制球力と緩急で遅延を取り戻すようにリズム良く108球を投じ、散発5安打で2時間37分の完投劇。石井監督は「9回まで安心して見ていられた。まだまだ若い」と称え「試合で勝つための道具を持ってくる努力をしてくれた、運送業者さんにも感謝したい」と頭を下げた。

　連休初日とあって試合開始が遅れても2万2313人のファンが声援を送った。「暑い中でこれだけの方々が待ってくれていた。何とか勝ちたかった」と岸。今季100試合目でチーム初完投、初完封の熱投。想定外のアクシデントすら、夏休みの思い出に変えた。（重光　晋太郎）

　≪12球団最遅　今季球団完投第1号≫岸の完封勝利は通算19度目だが、楽天モバイルでは81試合目の先発（登板は82試合目）で初となった。38歳8カ月での完封は自身の36歳3カ月を更新する球団最年長記録。なお、岸は今季球団完投第1号。チーム初完投が100試合目は19年の73試合目（美馬）を上回り最も遅い記録となった。楽天は12球団で唯一完投がなかった。