中畑清氏 現役ドラフトが読んだ人材の有効活用の流れ 球宴に細川&大竹が出場「うれしいじゃないの」

[ 2023年7月10日 05:30 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】うれしいじゃないの。オールスターゲームの監督選抜。現役ドラフト1期生が2人選ばれた。DeNAから中日に移った細川と、ソフトバンクから阪神に移籍した大竹。お二人さん、おめでとう。

 6月上旬から4番に座り、現在は3番が多い細川はリーグ5位の打率.295をマーク。先発ローテの一角をがっちりつかんだ大竹は7勝1敗、防御率はリーグトップの1.13だよ。

 こんな選手が前の球団では埋もれていたんだよね。出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化する目的で昨年誕生した現役ドラフト。2人の活躍はまさに「こうあってほしい」という理想型だ。

 12球団にはそれぞれチーム事情があり、戦力バランスに偏りもある。厚いポジションの選手を出し、薄い部分を埋める制度。出場機会を与えられる選手、補強できる球団、その選手の活躍を喜べるファンの三者がウイン・ウイン・ウインの関係になれる。

 選手にとっては前いた球団から事実上の戦力外を通告されるみたいだけど、ポジティブに捉えるべき。チャンスを生かせば、オールスターに出られるんだから。

 2人にはオールスターを存分に楽しんでもらいたいな。プロ6年目で初出場した1981年の球宴。青二才の私はベンチで山本浩二さんと衣笠祥雄さん(ともに広島)の間にどっかと座ってさ。「1年目でそんなやついねえよ」と言われたけどね。他球団の先輩と触れ合ってスターの仲間入りした気分になれてさ。ちょっぴり自信がついた。

 現役ドラフトとは別に、今年はシーズンに入ってのトレードがこれまで3件成立している。5月に巨人とオリックスが広岡、鈴木康を交換。6月には中日と日本ハムの間で山本拓、郡司と斎藤、宇佐見の2対2のトレードが成立。7月に入って巨人とロッテが石川慎、小沼を交換した。

 捕手同士の交換となった郡司がプロ初ホームランを放てば、宇佐見は5番でスタメン出場。石川慎は移籍後3打席連続安打を放つなど、それぞれいい仕事をしている。

 トレードによる人材の有効活用。これも現役ドラフトが生んだ流れかな。他球団の余剰戦力をどう取り込むか。編成担当者は「眼力」が問われることになるね。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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