阪神・森下弾の予兆あった 5回「もしかしたら」の出来事 思い出した広澤克実氏の言葉

[ 2023年7月10日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神1-0ヤクルト ( 2023年7月9日    甲子園 )

<神・ヤ>5回2死一、三塁、森下は死球を受ける(撮影・北條 貴史)
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【畑野理之の談々畑】 8回、森下翔太が左中間に均衡を破るプロ1号ホームラン。1―0で勝利してそのまま決勝点となり、お立ち台にも上がった。

 ベース一周後のベンチで披露した、プロレス技のウエスタンラリアット風に右腕をぶん回す「ガオガエン」も新鮮。昨年まであった「虎メダル」、ジェフリー・マルテの「ラパンパラ」、佐藤輝明の「Zポーズ」、そしてジェリー・サンズの「ハッピーハンズ」も今年はなくなりさみしかっただけに、定着していってほしい。

 ちなみに球団から派手なパフォーマンス禁止の通告は出ていない。おそらく岡田彰布監督があまり良く思っていないのではないかとチームが勝手に忖度したために消滅したのだろうが、スタンドに入った瞬間はベンチで大喜びしている。そのボスが儀式に参加することはなさそうだが、いっしょにはしゃいで楽しみたいファンは少なくないと思う。

 森下弾の予兆はあった……と書けば「野球の素人がなにを偉そうに」となるが、「もしかしたら」とは本当に思って注目していた。本塁打を打つ前の5回の打席でカウント2―2からの高橋奎二の内寄り149キロを三塁側へ引っ張って強烈なファウルにした時だ。

 プロレベルの打撃の技術をわかったふうに話すつもりはまったくない。その時、広澤克実氏(本紙評論家)の以前の言葉を思い出したからだ。今季のオープン戦の初戦となる2月25日のヤクルト戦(沖縄・浦添)を並んで見ていると、森下が三ゴロを打った時に「フェアゾーンに入れようとするから凡打になる。あれはガツーンとファウルするのがいいんだよ。しかも相手バッテリーが怖がるような強いのがいい」と言っていた。

 ちなみにこの日のサンテレビでの中継でもファウルの時に「今のはいいスイングでしたね」と解説している。試合後に確認しにいくと「1、2打席は差し込まれていたけど、3打席目からテイクバックも良い感じになっていたからね」と答えてくれた。8回、3番手の木沢尚文の初球150キロを少し甘いコースながらもジャストミートしたのは、決して偶然ではないと思う。

 5回は最後はスライダーが死球になり、結果的に真っすぐをファウルにしたのがカットして逃げられたようになった。リーグ最多の7死球が示すように相手バッテリーが内角を攻めてきても、森下も少しずつ対応していっている。

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