「何とかしたい」広島・大瀬良のプロ初盗塁は責任感から…初回の被弾で6敗目も新井監督ねぎらう

[ 2023年7月2日 05:00 ]

セ・リーグ   広島2ー3ヤクルト ( 2023年7月1日    神宮 )

<ヤ・広>広島先発の大瀬良は5回3失点で6敗目(撮影・村上 大輔)
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 広島・大瀬良大地投手(32)が1球に泣いた。1日のヤクルト戦で5回を3失点に抑えながら6敗目。初回に被弾したサンタナの先制3ランが勝敗に直結し、勝利への執念を込めたプロ初盗塁も実らなかった。打線も再三の好機にあと一本が出ず、試合は2―3で惜敗。連勝は6で、同カードの連勝も7で、それぞれ止まった。

 失点した分を少しでも取り返したい――。敵地のどよめきを誘う異例の行動は、勝利への執念以外の何ものでもなかった。3点を追う3回、二ゴロ失で出塁した先頭・大瀬良は果敢に二盗を決めた。

 「“行けるなら行ってもいい”という話があったので。点を取られているし、点を取りたいな…と。せっかく出塁したので、何とかしたいなと思って」

 先発・ピーターズの右足の上げ方や、一塁手・オスナがベースから離れていたのを確認し、次打者・菊池の2球目にスタートを切った。鮮やかなプロ初盗塁。広島投手の盗塁は07年8月29日、阪神戦(甲子園)での青木高広(現巨人2軍投手コーチ)以来だった。

 マウンドでは、しかし、1球に泣いた。初回に2本の安打で2死一、三塁のピンチを招き、打席にサンタナ。2ボールから外角を狙ったスライダーが真ん中低めに入り、打球は快音とともにバックスクリーンへ吸い込まれた。痛恨だった。

 「うまく制球できなかったです、初回は。(高さは)悪くなかったけど、中に入ってしまった。外国人選手には手がちょうど手が伸びるところかな…と」

 2回以降は見違える投球を披露した。5回までの4イニングをいずれも3者凡退。初盗塁を決めた直後には、ベンチで左足を治療したものの、投球には何ら影響を感じさせなかった。「足は大丈夫です」。それだけに初回の1球が余計に悔やまれる。

 「大地はサンタナのところだけかな。それ以外は完璧に抑えてくれた」。大瀬良をねぎらう新井監督。初盗塁には「“チャンスがあったら行くよ”と伝えていて、勇気を持って走ってくれた。投げること以外でも、何とかしよう…という献身的な姿がエースなんだと思う」と称えた。

 6回の好機に打順が回り、5回3安打3失点で無念の降板。チームの連勝が止まり、6敗目を喫した大瀬良は唇をかみしめる。

 「こういう結果になり、責任を感じています。前を向いてやるしかない。また次に向けて責任を持って調整したいと思います」
 人一倍、責任感が強い32歳。胸中は察して余りある。無念さはマウンド上で晴らすしかない。大瀬良が一番よく分かっている。(江尾 卓也)

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