エンゼルス・大谷ムーンショット7号 見上げた「凱旋門」「SHIBUYA109」級の50メートル放物線

[ 2023年5月2日 02:30 ]

インターリーグ   エンゼルス3-0ブルワーズ ( 2023年5月1日    ミルウォーキー )

<ブルワーズ・エンゼルス>3回、ソロを放つ大谷(撮影・会津 智海)
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 二刀流がまたも驚愕(きょうがく)のアーチを放った。エンゼルス・大谷翔平投手(28)が4月30日(日本時間5月1日)、敵地でのブルワーズ戦の3回に中堅へ4試合ぶりの7号ソロ。15年以降ではメジャー歴代最高の高さ162フィート(約49・4メートル)、球団最長で今季メジャー最長の滞空時間6・98秒の一撃だった。全てスタメン出場した17連戦最終戦。記録的一発で締めた。

 Fly High――。高く、どこまでも高く。見上げた敵地ミルウォーキーのファンは首が痛くなったかもしれない。大谷が放った衝撃弾は、3回2死だ。昨年までソフトバンクに在籍したレイの初球、85・9マイル(約138キロ)のカットボール。バックスクリーン右へ自身今季最大角度となる39度で、413フィート(約126メートル)のアーチを描いた。

 「あんなにデカいアーチを見たことがない。大谷は特別だ。彼は日々、何かしら新しいことを成し遂げている」。ベンチのフィル・ネビン監督も、3万3557人の観客も息をのんだ。「フライボール革命」を支える安打や本塁打の出やすい「バレルゾーン」では、打球角度33度以上の場合、打球速度が161キロ以下では凡打となる計算。だが、この一発は自身今季2番目の打球速度114・3マイル(約184キロ)をマーク。大谷の超絶パワーが高角度でもスタンドインを可能にした。打球の最高到達点162フィート(約49・4メートル)は、15年のスタットキャスト導入以降のメジャー記録。滞空時間6・98秒も、同じく15年以降の本塁打では球団記録で、今季のメジャー460本で最長だった。

 二塁上が200フィート(約61メートル)の開閉式天井にも届かんばかりのビッグフライ。「大谷翔平マニア」で知られるFOXスポーツのアナリスト、ベン・バーランダー氏はロケットの絵文字とともに「GOOD LORD(なんてこった!)大谷が月への本塁打を打った」と自身のツイッターを更新。メジャー通算20球場目での一発は、米メディアが「スーパームーンショット」とするなどその軌道への驚きが広がった。

 常識を覆す超人・大谷の一発。指揮官は試合後「誰かスコアボードを直撃する本塁打を打たないかと思っていたんだ」と話したが、想像を軽く超えただろう。それもチームで唯一、全試合スタメン出場を続けた、17連戦のハードスケジュールの最終日の一発だから恐れ入る。

 4月を終え「打」は打率・294、7本塁打、18打点、「投」は4勝0敗、防御率1・85。ともに昨季を上回る好スタートを切った。超人にして、鉄人。チームも15勝14敗と白星先行となった。(笹田 幸嗣通信員)

 ▽主な高さ50メートル級の建造物メモ パリの「凱旋門」や、東京・渋谷の「SHIBUYA109」などが挙げられる。東京ドームの天井は高さ60メートルを誇るが、大谷は日本ハム時代の16年11月に侍ジャパンの強化試合・オランダ戦で、02年の巨人・松井秀喜以来史上2度目となる、天井の隙間に入り込む「認定二塁打」を放ったことがある。なお、漫画「ドカベン」に登場する坂田三吉は、高さ100メートルを超える通天閣打法で知られた。

 ≪20球場で本塁打 日本選手3位に≫大谷がブルワーズの本拠「アメリカン・ファミリー・フィールド」で初アーチを放ち、これでメジャー20球場で本塁打。日本選手ではイチロー(マリナーズなど)の24球場、松井秀喜(ヤンキースなど)の23球場に次いで3位。

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