ヤクルト、ドローで22日神宮で胴上げへ前進M3 高橋が高津監督仕込みチェンジアップ駆使して7回零封

[ 2021年10月21日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト0ー0阪神 ( 2021年10月20日    甲子園 )

<神・ヤ>阪神と引き分けてマジック3となり、ナインを出迎える高津監督(撮影・大森 寛明)
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 ヤクルトは20日、敵地・甲子園での阪神戦で高橋奎二投手(24)が7回を4安打無失点、8奪三振の快投。チームは0―0の引き分けに終わったが、15年以来6年ぶりの優勝に向けたマジックを1減らして「3」とした。21日からは神宮で広島と2連戦。就任2年目の高津臣吾監督(52)の本拠地での胴上げに向け、大きく前進した。

 1カ月前。高津監督はボールを受けながら成長を感じ取っていた。9月19日の神宮コブシ球場。グラブをはめ、高橋とキャッチボールし「チェンジアップ、だいぶ回転が良くなったね」と声を掛けた。2軍監督時代から目をかけられた左腕が、大一番で応えた。

 「プレッシャーを考えずに投げようと思った。アウェーの中でも、自分の力に変えながらいい投球ができた」

 2位・阪神との2連戦第2ラウンド。秋風が吹く甲子園で緊張感を力に変えた。前日に先発した奥川の「乾燥して滑る」という意見を参考に、頻繁に息で手を温めた。「ボールもこねながら、意識してやった」。丁寧に一球一球投げ込んだ。

 入団当初の2軍西都キャンプ。当時2軍監督だった高津監督からチェンジアップの投げ方を教わった。以来、磨きをかけてきた球。「やっと今年、いいところに投げられたり、カウントを取れたり。得意球種になってきている」と6年目で手応えをつかんだ

 象徴的だったのは6回1死一塁だ。近本へ134キロのチェンジアップを低めに投じ、二ゴロ併殺に仕留めた。グラブを叩いてガッツポーズ。7回を4安打8奪三振無失点で救援陣に託した。龍谷大平安時の2年春、甲子園で優勝した背番号47の快投。高津監督は「奎二がよく頑張った。気持ちが乗った投球だった。若い頃から鍛えてきたから、こういう姿を見るとうれしい」と目を細めた。引き分けに持ち込み、優勝マジックは3に減った。

 入団2年目の92年。甲子園でリーグ優勝を決めた際には、高知で教育リーグに参加していたため、胴上げの瞬間にいられなかった指揮官。甲子園での胴上げとはならなかったが、21日から神宮で広島2連戦に臨む。最短Vは22日だ。

 本拠での胴上げについて「正直、あまり考えていない。本当に一生懸命、目の前の試合を戦うだけ」と冷静さを貫く。守護神として活躍した高津監督は、現役時代は神宮で3回も日本一の胴上げ投手になった一方で、リーグ優勝時にはホームでの胴上げ投手に縁がなかった。ナインを信じて、22日に舞う。(青森 正宣)

 ≪2リーグ制後最多3度目0-0ドロー≫首位のヤクルトは2位の阪神と引き分けたが、マジックは3と1つ減り、最短優勝決定日は1日延びて22日となった。この日は、5月12日広島戦、9月25日中日戦に次ぐ今季3度目の0―0引き分け。シーズン3度の0―0引き分けは12年オリックス、今季の中日に並ぶ2リーグ制後の最多記録だ。なお、ヤクルトは完封も12度あり0―0引き分けも合わせた今季の無失点試合は合計15。セでは阪神、中日の17試合に次ぐ多さで、昨季の5試合(セ最少)から10試合も増やしている。

 ≪セ最多チーム146ホールド≫ヤクルトは今季のホールドが146となり、19年阪神の145Hを抜くセのシーズン最多ホールド記録になった。なお、プロ野球記録は19年楽天の150H。

 ≪ヤクルト過去の神宮での優勝決定≫☆78年(胴上げ投手=松岡弘)10月4日の中日戦。観衆4万3000人が集まる中、9―0で勝ち球団創設29年目にして初優勝。広岡達朗監督が胴上げで宙を舞った。

 ☆93年(胴上げ投手=西村龍次)10月15日の広島戦。試合途中で2位・中日が敗れ2年連続3度目の優勝が決定。試合も5―1で制し、野村克也監督のID野球が結実。

 ☆95年(胴上げ投手=ブロス)9月30日の巨人戦に5―0で勝ち、2年ぶり4度目のリーグ制覇。古田や高津は右翼フェンスによじ登ってファンと喜びを分かち合った。

 ☆97年(胴上げ投手=吉井理人)マジック1で迎えた9月28日の阪神戦。優勝決定試合で最多の16点を奪い大勝。野村監督にとっては就任8年目で4度目のV。

 ☆15年(胴上げ投手=ロマン)就任1年目の真中満監督がチームを再建。10月2日の阪神戦の延長11回、2―1でサヨナラ勝ちし優勝を決めた。

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