楽天・田中将 ドローで3勝目お預け 日本復帰後最長8回1失点も4戦勝ちなし

[ 2021年5月30日 05:30 ]

交流戦   楽天1―1DeNA ( 2021年5月29日    楽天生命 )

<楽・D>6回、オースティン(右)に左中間ソロを浴びた田中将(撮影・島崎 忠彦)
Photo By スポニチ

 楽天・田中将大投手(32)は29日、DeNA戦に先発し、復帰後最長の8回を投げ、5安打1失点。しかし打線の援護に恵まれず、今季3勝目はお預けとなり、試合は1―1で引き分けた。2勝3敗と黒星が先行する我慢のマウンドが続くが、2試合連続の「ハイクオリティースタート(7回以上、自責点2以下)」で防御率は2・54。投球の質は確実に上がってきた。

 球数が進むごとに投球が熱を帯びた。6回2死、ヤンキースでの同僚オースティンに手痛い先制ソロを浴び、続く宮崎も左前打と初めて連打を許した。すかさず小山投手コーチが間を取る。輪が解けると、ギアを上げた田中将がいた。ソトを3球三振。7、8回は3者凡退に斬った。

 「何とか攻撃に、いい形でつなげられればと」。打線が7回に追い付き黒星は消えた。ただし、そこまで。1―1ドローで、勝利までには届かなかった。

 「長いシーズン、こういうタイミングもある。どんな時であれ自分がコントロールできる部分にフォーカスして投げていく。その作業は変わらないです」

 2試合続けてのハイクオリティースタートが、ともに勝利につながらなかった。5月1日を最後に自身の白星がなく、先発した試合でチームは4戦続けて勝てていない。

 先発時の平均援護点はチームで突出して少ない1・7。登板中の援護点を9イニング当たりで表す「援護率」は試合前の2・14から1・98に悪化した。40イニング以上投げる投手ではリーグワースト3位だ。

 もっとも、防御率は2・54まで向上させた。4月の月間防御率3・27に対し、5月は2・31。「直球もスライダーもスプリットも今季の中ではいい方だったと思う」。中でもスライダーが抜群で、6三振中5つを奪った。その武器に頼りすぎることなく、95球中、速球系(直球とツーシーム)が32%、スライダー37%、スプリット29%と、自身の投球の3本柱をほぼ均等にミックス。「3球種でうまく相手のバランスを崩せた」とうなずいた。

 2カ月後の東京五輪へ向けた侍ジャパンの選考は大詰めを迎えている。千賀、菅野ら主力先発投手にアクシデントがある中で、有力代表候補は力強くステップを踏む。我慢のマウンドが続いても自らのペースを崩さないエースから、本物の安定感が漂ってきた。(後藤 茂樹)

 《援護率=9イニング相当の打線の得点》援護率は英語では「ランサポート」と呼ばれ、登板中に味方打線が挙げた得点を9イニング相当で表す。「援護点×9÷援護回」で算出。田中将の1.98は、40イニング以上投げた投手ではリーグワースト3位。ワーストは日本ハム・池田の1.90で、次いでオリックス・山崎福の1.93。パ・リーグの規定投球回到達の12投手は全員3.30以上で、オリックス・宮城の6.21がトップ。楽天・早川の5.03、同・涌井の4.98が続く。

 ▼楽天・石井監督 なかなか得点できない中、チームに勝てる可能性を与えてくれる素晴らしい投球をしてくれた。

 ▼楽天・松井(9回に無死満塁のピンチを招くも無失点)相手のミスもあり助けられたが、何とかゼロで帰れて結果的には良かったです。

続きを表示

この記事のフォト

2021年5月30日のニュース