若菜氏 巨人とソフトバンクの差はバッテリーにあり カットボールに“固執”の炭谷と“臨機応変”の甲斐

[ 2021年5月30日 05:30 ]

交流戦   巨人3―8ソフトバンク ( 2021年5月29日    ペイペイD )

<ソ・巨>2回、長谷川(後方)にソロ本塁打を浴びるサンチェス(右)と捕手・炭谷(撮影・吉田 剛)
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 【若菜嘉晴氏の分析】巨人は29日、ソフトバンクに3―8で敗れ、19年6月23日の交流戦からオープン戦を含めて1分けを挟み14連敗を喫した。両チームの差はどこにあるのか。本紙評論家の若菜嘉晴氏(67)は、バッテリーの配球の違いをこの試合での最大の要因に挙げ、打者のスイングの力強さなどでも、ソフトバンクが巨人を圧倒していると指摘した。

 ソフトバンクと巨人の差はいくつか挙げられるが、この試合に関してはバッテリーが勝敗を分けた。初回、ウィーラーの2ランで前日同様に巨人が先制。マルティネスの投球内容から、甲斐が配球をすぐ切り替えたことが功を奏した。

 打たれたのはカットボール。立ち上がりは抜けて、高く浮くケースが目立った。甲斐は危険だと判断し、沈むチェンジアップを多めに要求した。大事なのはこの後の配球だ。投球が軌道に乗ると、不調だったカットボールを再び増やした。ここが甲斐のリード面で成長した部分。これまでなら打たれた球種を捨ててしまい、組み立ての幅を狭めていた。正捕手として場数を多く踏み、配球の面で進境を見せている。

 一方、捕手を前日の大城から炭谷に代えた巨人バッテリーはどうだったか。サンチェスは4発浴びたうち3本がカットボール。指の掛かりが悪いのか曲げ切れず、シュート気味に入る危険な球だった。配球が単調で、前日と同じようにホームラン攻勢を食らった。

 攻撃面ではスイングの質に差がある。ソフトバンクは甲斐、松田といった下位の打者でもフルスイングし、甘い球は逃さずに仕留める。4連勝スイープした昨年の日本シリーズでも計7本塁打を放った。巨人バッテリーに怖さを植え続け、それが連勝につながっているとも言える。

 そして、一つ一つのプレーに対するひたむきさ。長谷川が2本塁打しただけでなく、5回の守備で捕球できなければスタンドに入っていたフェンス際の当たりをジャンプして好捕した。対する巨人は、野球がきれい過ぎる印象だ。もっと泥くさく向かっていかないと、首位・阪神には追い付けない。(スポニチ本紙評論家)

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2021年5月30日のニュース