新人記録タイ!広島・栗林 デビューから13戦連続無失点 快挙の陰に中学時代の恩師の金言

[ 2021年5月4日 05:30 ]

セ・リーグ   広島2-3巨人 ( 2021年5月3日    マツダ )

<広・巨>9回に登板した栗林は3者凡退に抑える(撮影・奥 調)
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 広島・栗林良吏投手(24)が3日の巨人戦でデビューから13試合連続無失点へ伸ばした。ドラフト制以降の新人では19年のソフトバンク・甲斐野と並ぶプロ野球記録。9回に初の劣勢登板でも安定感は変わらず、打者3人で抑えた。力投は勝利に結びつかず、2年ぶり5連敗で、今季ワーストの借金4へ後退。先発の森下暢仁投手(23)が2年目で初の1試合3被弾で3敗目を喫した。 

 2―3の9回は、栗林が初めて経験する劣勢のマウンドだった。「点を取られてはいけない。ビハインドの方がすごい緊張感があった」。さらに4月25日の巨人戦以来、8日ぶりは自身最長ブランク。慣れない条件の中で新人記録への挑戦が始まった。

 ただし、マウンドに上がれば、いつもと何ら変わらなかった。先頭のスモークを勝負球のフォークで空振り三振を奪うと、ウィーラーも2ストライクからのフォークで遊ゴロ。続く若林は直球で一ゴロに押し込み、11球で3者凡退に仕留めた。開幕から抑えを務めて13試合目。甲斐野の持つドラフト制新人のデビューからの連続無失点記録に並んだ。

 「間隔は空いていたけど、ブルペンに入っていたし、戦っている試合は一緒。そんなに気にならなかった。負けている試合だったので、記録とかも気にせず、本当にチームの勝利のためにマウンドに上がることができた」

 グラブには「謙虚」の刺しゅうが入っている。中学時代に所属した「藤華クラブ」の有野伸一総監督から送られた言葉である。中学2年時、それまで務めていた主将を外された。理由は、個人よりも周囲を最優先する仲間思いの性格を心配されたため。当時送られた「自分のために謙虚に取り組んで成長しなさい」との助言を大切に覚えているのだ。

 恩師と慕い、いまも親交は続いている。大学4年の18年は広島がリーグ3連覇を達成した年で、ドラフト前に「広島やったらええな」と伝えられたこともあった。結果は指名漏れ。電話越しに自分のことのように悔し涙を流してくれた。「前を向いて頑張ります」と約束すると、「こんなときまで謙虚にならんでええよ」と励まされた。2年たち、広島から1位指名。「俺の言った通り、広島になったな」。電話で祝福され、今度は2人でうれし涙を流した。

 「ゼロに抑えることはいいこと。継続して勝ち試合も劣勢のときでも、チームを勢いづけられる投球をしたい」。快挙に並んでも変わらず、謙虚に腕を振ると決めている。(河合 洋介)

 《初登板からに限らない新人最長は29試合》栗林(広)がデビューから13試合連続無失点。ドラフト制以降の新人では19年甲斐野(ソ)と並ぶ初登板からの最長無失点記録になった。初登板からに限らない、新人の連続試合には12年高木(巨)の29試合連続がある。

 ▼広島・佐々岡監督 リードした場面で出してあげたかったけど、登板が7日空いている。こういう展開で、1点差なら最後にどうなるか…というところだった。そこでも変わりなく投げてくれたから、最後(9回裏の攻撃)にチャンスが巡ってきたと思う。

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