エンゼルス・大谷 右肘死球直後に初の2盗塁 レイズ戦先発登板は当日判断

[ 2021年5月4日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス0ー2マリナーズ ( 2021年5月2日    シアトル )

<マリナーズ・エンゼルス>初回、死球を受けて叫ぶ大谷(AP)
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 二刀流の宿命にも屈しなかった。エンゼルスの大谷翔平投手(26)は2日(日本時間3日)、マリナーズ戦の初回、利き腕の右肘へ死球を受けた。予定していた3日(同4日)のレイズ戦先発は、当日の状態を見て決定する事態に。それでも日米通じて初の1試合2盗塁をマークし、今季6盗塁はリーグ3位タイに浮上。投手登板への影響を及ぼす野手出場での負傷のリスクは顕在化したが、フル出場を果たし役割を全うした。

 野手ならば懸念も少ないアクシデント。だが二刀流の大谷にとっては、大きな影響を及ぼす右肘への死球だった。しかも登板予定前日。リスクにさらされている事実は、現実になった。

 「ウワァーッ!」。大谷の叫びが敵地で響いたのは初回だ。左腕シェフィールドの内角93マイル(約150キロ)速球が、右肘のエルボーガードと上腕の境目付近に直撃。バットを放り捨て、膝をつくとしばらく動くことができなかった。

 ジョー・マドン監督、トレーナーらがベンチから飛び出したが、痛みをこらえた大谷は、歯を食いしばり一塁へ。日米通じてシーズン最多となる3個目の死球。ここまでメジャー5位タイの8発を放つ強打者のマークが、高まっている証拠でもあった。取材対応がなかった大谷に代わりマドン監督は「痛みがある。これから張りが出るかもしれない。明日について話すのは時期尚早だ」と説明。3日のレイズ戦先発は、当日に判断する。

 昨年まで登板前日の打者出場はなかった。だが今季は首脳陣と話し合った上で、大谷に出場の判断が委ねられてきた。リアル二刀流を含めてチームの全26試合に出場。希有(けう)な二刀流に挑戦する大谷にとっては、リスクは覚悟の上だ。

 その覚悟はプレーで示した。死球の直後、3番トラウトの初球にスタート。捕手が送球動作に入るのを諦めるほどの完璧な二盗を決めた。続くレンドンの2球目に三盗。しびれが残る右腕を気にしつつ、日米通じて初めての1試合2盗塁だった。

 「シークレット・リベンジ(秘めたる雪辱)。私は大好きだ」と評したのはマドン監督。大谷に自由にスタートできる「グリーンライト」の権利を与える指揮官は「走塁もうまい。彼は完璧な野球選手になることを使命としている。我々はその全てを支持している」と称えた。二盗では秒速28・3フィート(約8・6メートル)、三盗は同29・2フィート(約8・9メートル)を計測。MLB平均とされる同27フィート(約8・2メートル)を上回る快足で、死球への雪辱を果たした。

 18年に続き2度目の「投手3先発&8本塁打6盗塁」は1918、19年のB・ルース以来2人目。奮走届かずチームは零敗し、先発登板は不透明になったが、全速前進をやめる気は、大谷にはない。

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