広島・石原慶 涙の引退会見 カープ一筋19年「凄く幸せな時間だった」

[ 2020年10月17日 05:30 ]

引退会見を行う石原
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 今季限りで現役引退する広島・石原慶幸捕手(41)が16日、広島市南区のマツダスタジアムで会見を開いた。球団の歴代捕手で最多の安打数、出場試合数を誇り、低迷期から黄金期まで縁の下で支え続けた広島ひと筋の19年間。「すごく幸せな時間だった。真っ赤なファンの皆さんに勇気と力を与えてもらった」とすがすがしい表情で感謝した。

 コロナ禍のため新聞とテレビの代表のみが参加し、ソーシャルディスタンスを保った中で開かれた異例の記者会見。石原慶は「状況が状況だから。人生の中ではいい経験」と受け止め、重い決断を下した理由を口にした。

 「最近は試合出場が減り、自分がどういう立場か分かっていた。チームの力になれていないと感じた時は引退しないといけない。それが理由です」

 兼任コーチ就任要請を断り、現役1本で臨んだ今季。「チームのために何ができるか」を自問自答する中、7月には故障や優勝決定後の休養を除く抹消を19年目で初めて経験する憂き目を見た。8月上旬の昇格時には気持ちを固め、鈴木清明球団本部長に申し出た。

 県岐阜商高から東北福祉大を経て2002年にドラフト4巡目で広島入団。長く正捕手として活躍し、国内FA権を取得した10年、13年には複数球団が興味を示す中「このチームで優勝したい」とカープ愛を貫いた。

 「ずっと勝てない時期を経て3連覇させてもらった。3回ともいろいろなうれしさがあったけど、25年ぶりの優勝が最も印象深い」

 低迷期から黄金期への変貌を肌で知る。その最大要因には黒田博樹、新井貴浩(本紙評論家)両氏の古巣復帰を挙げた。「投手最年長の黒田さん、野手年長の新井さんが献身的に手本を示してくれたことで、若手が影響を受けて本当のチームになった」。石原慶自身も例外じゃない。

 「2人のすごさを改めて感じた。練習に取り組む姿勢、試合に勝ちたい気持ち。一緒にやって刺激を受けない人はいないと思う」
 11月7日の阪神戦で引退セレモニーが予定される。本拠地のファンに別れを告げる最後の舞台。8月27日のDeNA戦で負傷した左脚は「やっと走り出しができてきた」とし、「試合に出してもらえるのなら、全力で走れるようにリハビリ頑張ります」と笑った。

 リードが悪い、もっと打て…。低迷期には数多くの苦言を耳にした。楽観的に考えられない性格。必死に汗を流して積み上げた、球団歴代捕手で最多の出場1619試合、通算1022安打は石原慶の勲章だ。黄金期を築いた中心選手。功績は語り継がれる。(江尾 卓也) 

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2020年10月17日のニュース