鈴木啓示氏 阪神・藤浪は腕に頼ったフォーム 体の回転で投げるのが理想

[ 2020年7月24日 06:00 ]

セ・リーグ   阪神2―4広島 ( 2020年7月23日    甲子園 )

<神・広(5)>阪神先発の藤浪(撮影・北條 貴史)
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 【鈴木啓示 視点】藤浪の投球を、楽しみにしていた。今年初め、鳴尾浜で会った時に「今年は本気を出せよ!」と声を掛けると「分かりました」と返ってきた。いい目の色をしているなと思い、今年は、やるだろうと期待していた。

 その立ち上がり。やはり自信を持った腕の振りには見えなかった。自分の制球力に半信半疑なまま投げている感じを受けた。注目度が高く、重圧も大きかっただろう。チームの状態がいい時の方が、勢いに水を差すわけにはいかないため重圧が大きくなるものだ。

 だから一層、腕に頼ったのか。打者が体の回転で打つように、投手も体の回転で投げるのが理想。藤浪は腕を振ろうとしすぎて腕に頼ったフォームになっていた。腕ばかり振っても、結果的に腕は振れない。体の回転によって、勝手に振れてくるものだからだ。3回辺りからは、下半身が使えてきた感じはあった。それによって、5回くらいまでは腕の振りが少しスムーズにはなっていた。

 6回1死一塁から2者連続で四球を与えた場面は、体の回転どころか、加減して投げるような投球になった。腕で細工する球は力が弱く、制球も定まらない。打者が手打ちしたら打球が弱く、飛ばないのと一緒だ。上半身と下半身が一本の軸にならないといけないはずが、バラバラになってしまった。状態を上げるためには、やはり腕に頼らない、体の回転で投げることを意識してほしい。

 制球難から崩れるという、自分が恐れていたであろう結果となった。ショックは小さくないと思う。だが、これをバネにしないといけない。この世界は、やられっぱなしでは飯は食えない。やられたら、やり返すしかない。

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