MLB緊張の2カ月半 コロナ集団感染出れば打ち切りも…エンゼルスでは各選手にスイートルーム提供

[ 2020年7月21日 05:40 ]

ソファなどが完備されたスイートルーム(撮影・奥田秀樹通信員)
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 【奥田通信員が今季を展望】大リーグ機構(MLB)が一番恐れているシナリオは開幕後の集団感染。少人数なら60人の選手枠から同じポジションの選手を上げればいい。だが集団感染となれば、濃厚接触者もその分増え、試合が成立しない。最悪の場合、シーズン打ち切りの可能性さえある。

 MLBは感染防止に向け、選手の密集回避や消毒などに関する細かなガイドラインを作成。球団ごとの対策も重要だ。私が現在取材しているエンゼルスは、クラブハウスで選手が「密」にならないよう、球場のスイートルームを各選手に1部屋提供。18日の紅白戦前には内野手の打撃練習中に、トラウトら外野手陣がグラウンドからわざわざ球場4階のスイートルームまで移動し、待機する姿があった。感染した選手の復帰へのハードルも高い。2度の検査での陰性、発熱やせきなどの症状が72時間出ていないこと、抗体検査や超音波による心臓の検査を受けてクリアする必要がある。時間はかかるが、これによってチーム内を安全に保つことができる。

 取り組みの成果は出ている。キャンプ再開後、大リーグ全体で1週間に12人の新たな感染者が出たが、2週目は6人に減少した。とはいえ、国別で世界一の感染者378万人を抱える米国。開幕後は移動による感染リスクも生じる。自身や家族の健康、感染リスクを懸念し、今季の欠場を選択した選手も少なくない。2カ月半に満たない特別なシーズンは、この上ない緊張感を帯びている。(奥田 秀樹通信員)

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2020年7月21日のニュース