間もなく開幕、夏の甲子園大会 ファンが期待するのは球場内でのドラマ

[ 2019年8月4日 09:00 ]

75年8月24日、決勝戦の新居浜商戦で力投する習志野・小川淳司
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 8月6日に夏の甲子園が開幕する。ヤクルト・小川監督の母校・習志野も8年ぶり9度目の出場となり「準決勝で接戦をものにして勢いがついたと思う。(準優勝した)春にたどり着けなかった頂点を目指して頑張ってほしい」と後輩たちにエールを送った。

 小川監督は1975年にエースとして夏の甲子園に出場。地方大会から全試合で完投し、優勝投手となった。準々決勝では磐城に16―0で勝利。大勢が決した試合途中で監督から交代を打診された。「でも、(代わるのが)3年生だと思ったら、1年生だったから」。高校最後の夏。3年間、苦楽をともにしてきた同級生なら譲る考えもあったが、下級生だったことから、自ら続投を志願した。

 大会中に右肩を痛めながらも、新居浜商との決勝も最後まで投げ抜いた。ただ「俺たちの時代は投げるのが当たり前だったから」と自身の経験を、ことさら美談に仕立てることもしない。時代が変われば、考え方も変わる。最速163キロを誇る大船渡・佐々木が岩手大会の決勝で登板せず、敗退したことで賛否両論が世間をにぎわせたが「その現場にいないから分からない」と、議論のテーブルに着くことはなかった。

 地方大会開催中は、ヤクルトの選手たちも練習の合間に母校の戦況を気にしていた。それは甲子園に戦いの場を移しても同じだろう。OBはもちろん、ファンが期待するのは球場内でのドラマ。外野の大人たちによる、当事者不在の論戦の場にならないことを願う。(記者コラム・黒野 有仁)

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