創成館・野口 聖地で人生初の5の5 一般入学からレギュラーに

[ 2018年4月2日 05:30 ]

第90回選抜高校野球大会第10日・準々決勝   創成館10―11智弁和歌山 ( 2018年4月1日    甲子園 )

<智弁和歌山・創成館>7回2死二、三塁、創成館・野口が中前に2点打を放つ
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 努力は裏切らない。絵馬に誓った甲子園は、教えてくれた。創成館(長崎)の野口恭佑(きょうすけ)外野手(3年)は「5番・左翼」で智弁和歌山戦にフル出場。小学1年から始めた野球人生初の5打数5安打、3打点、2盗塁をマークしたがチームはサヨナラ負けを喫した。

 「結果として打てましたが負け。5安打は気にしてないです。勝たないと意味ない」。

 4―2での2死二塁では左前適時打。7―6での7回2死二、三塁では中前2点適時打。突き放しにかかったが、10―9での延長10回2死一、二塁での守備で相手の6番黒川の浜風に乗った大飛球は野口のもとへ。グラブを伸ばしたが頭を越され、試合は終わった。

 創成館は他県からの特待生、推薦生が大半だが地元長崎県出身で先発メンバー唯一の一般入学での入部者。長崎日大などの推薦入学の話もあったが「自分が鍛えられる高校に身を置いて、甲子園で勝ちたい」と思い、創成館の練習視察後に入部を即決した。

 甲子園に、思いを刻んでいた。雲仙市立千々石(ちぢわ)中2年の冬、大阪に住む親せきの家にに遊びに行った際に「どこに行きたい?」と聞かれ「甲子園」と答えた。シーズンオフで球場は閉まっていたが一塁側奥にある別名「甲子園神社」に行き、絵馬にこう書いた。「創成館に合格して創成館のレギュラーとして甲子園で活躍したい 野口恭佑」。

 中学の軟式野球部は部員7人。サッカー部とテニス部から助っ人をレンタルし、大会に出場するレベル。県大会すら出場したことのない男は、高校入学後「夜中2時までバットを振っていたことがあります」。好きな言葉は「向上心」。睡眠時間を削って努力し続け、特待生を相手にレギュラーの座を奪った。

 今大会の3試合で、10打数7安打3打点。「本塁打を打ったり、チームを勝利に導く活躍はできていません。また夏に戻ってきて、次こそは悔しさを嬉しい思いに変えたい」と納得はいっていない。帽子のつばの裏には黒マジックで「誇 自信 漢」の文字が書いてあった。「誇りを持って、創成館のユニホームを着ている自分を信じて、漢(おとこ)の中の男になる」。野口は再び努力を夏の甲子園にぶつける覚悟だ。

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