93年の父に続いた…智弁和歌山・黒川 延長10回逆転“父子”劇打

[ 2018年4月2日 05:30 ]

第90回選抜高校野球大会第10日・準々決勝   智弁和歌山11―10創成館 ( 2018年4月1日    甲子園 )

<智弁和歌山・創成館>10回2死、サヨナラ安打の智弁和歌山・黒川はガッツポーズ
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 準々決勝4試合が行われ、4強が出そろった。智弁和歌山は1点を追う延長10回に黒川史陽内野手(2年)が2点二塁打を放ち、創成館(長崎)に11―10で逆転サヨナラ勝ち。高嶋仁監督(71)は春夏通算100試合目の甲子園で同最多の勝利数を67に更新した。日本航空石川を下した東海大相模(神奈川)は決勝打の山田拓也内野手(3年)が攻守で活躍。2日は休養日で、準決勝は3日に行われる。

 黒川はお立ち台で何度も繰り返した。

 「野球の神様が打たせてくれました」。9回2死満塁から2点差を追いつき、再び1点勝ち越された延長10回2死一、二塁。「自分が決める」と誓った一打は逆方向に飛び、左翼手のグラブの先をかすめた。逆転2点二塁打。大会3度目の両チーム2桁得点のサヨナラ試合となった。

 上宮の主将として93年センバツに優勝した父・洋行さん(42)と二人三脚で歩んできた野球人生。小学4年の頃、ある試合で内角に腰が引ける息子を見て父は鬼になる。「何を怖がってんねん」。左打席のライン際で構えさせ、父は日没まで内角へ投げ続けた。体にぶつかってもお構いなし。息子は泣きながら打席に立ち、野球の厳しさを教わった。

 その父が見守る前で放った人生初のサヨナラ打。洋行さんも93年の横浜との2回戦で同じ延長10回にサヨナラ打を放った。25年後。息子も同じカウント1―2から同じ左越えに打った。2人の絆の強さを物語るようだった。

 前の2試合は無安打。97年夏の優勝時の主将で阪神でも活躍した中谷仁コーチから「おまえは(練習を)やってきた。野球の神様が打たせてくれるから」と言われ、気持ちが楽になった。2回、今大会11打席目で出た初安打がソロ本塁打。4打点に「やっぱり信じてよかった」と笑った。

 最大5点差をひっくり返した高嶋監督は「何年か前の試合によう似とるな」と感じていた。06年夏の甲子園、帝京との準々決勝で9回に8失点もその裏に5点奪って13―12でサヨナラ勝ち。甲子園通算100試合目で最多67勝目を挙げた「百戦錬磨」の71歳も「甲子園の女神がほほ笑んでくれた」と感謝した。

 3日の準決勝は00年決勝で敗れた東海大相模で「次は神様に頼むことなく自分で打ちたい」と黒川。父と同じ優勝旗をつかむために。 (森田 尚忠)

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