阪神・安藤 涙の引退会見…後輩に託す「日本一になってほしい」

[ 2017年9月16日 05:50 ]

涙ながらに引退を表明する安藤
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 阪神・安藤優也投手(39)が15日、西宮市内のホテルで引退会見を行った。虎一筋、16年間の現役生活にピリオドを打つ決断を下したベテランは、涙ながらに、果たせなかった日本一の大願を後輩たちに託した。

 現状では、レギュラーシーズンの甲子園最終戦となる25日のDeNA戦で引退登板する可能性が濃厚。03、05年と2度のリーグ優勝に貢献した功労者に対し、球団側がコーチとしての入閣か、フロント入りを検討していることも判明した。

 猛虎に捧げた一途な思い…。ユニホーム姿で臨んだ会見で、安藤は何度も「タテジマ」で涙をぬぐった。

 「03年、18年ぶりに優勝して、その輪の中にいられた。04年はアテネ五輪に出させてもらい、05年にも先発として優勝の輪に入れたのも、思い出。08年から3年連続で開幕投手をやらせてもらった。苦しい時期もありましたけど、苦しさを乗り越えて、本当にいろんなことがあった16年間でした」

 中身の濃い16年間を思い返すと、自然と熱いものが、頬を伝った。先発、中継ぎの両方で優勝を経験し、13年からは4年連続で50試合登板を果たすなど近年は、ブルペンの屋台骨を支えた。背番号16にしか描けない野球人生を全力で駆けてきた。

 そんな39歳が、忘れられないシーズンに挙げたのは、意外にも1軍登板がないまま苦しい2軍暮らしが続いた今季だった。

 「良い思い出、悔しい思い出でもありますけど、ファームに落ちた1年間は貴重な1年だった。若手と一緒に練習してきて、野球に対する考え方、姿勢をあらためて考えさせられた1年だった。新しい野球観を発見できた。若手に感謝したい」

 春から昇格を争ってきた若手をいつしか、頼もしく感じるようになった。「ボール自体はね。(良いボールを)投げる後輩はいっぱいいる。1軍も若くてイキの良い投手が出てきてる。僕の力は必要ないのかなと。そこが引き際なのかなと」。

 8月に現役引退を検討し始め、家族や両親にも相談し、今月に入って決断。12日には球団事務所を訪れ、意思を伝えた。2軍では夏場まで防御率0点台をキープしたように、現役続行への思いもあった中で、若く、たくましい力の数々が“降板”を決意させた。

 「日本一という目標は成し遂げられなかった。後輩たちには日本一になってほしい」

 唯一、マウンドに置き忘れてきた「日本一」という大目標は、託した。自身がそうであったように、タテジマを誇りに腕を振る若虎たちに。(遠藤 礼)

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