フルスイングを貫け 日本ハム“おにぎり君”横尾の迷いを消した中田の金言

[ 2017年9月16日 10:15 ]

9月13日のロッテ戦の9回1死、左越えにソロ本塁打を放つ日本ハム・横尾
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 すでに4位以下が確定して日本一連覇の夢は断たれた日本ハムで、ようやく右の長距離砲の芽が出つつある。今季の野手の出世頭は交流戦2位の打率・396を残すなど右翼に定着した高卒6年目の松本だが、遅ればせながら大卒2年目で同じ24歳の横尾が8月27日の楽天戦(Koboパーク宮城)で左翼席に豪快なプロ初本塁打を放った。

 横尾は「やっぱりホームランは気持ちよかった。フルスイングは自分の持ち味だと改めて気付いた」と振り返る。その言葉通り、アマチュア時代は右の長距離砲として活躍した。阪神・高山とチームメートだった日大三では11年夏の甲子園で全国制覇。慶大でも通算13本塁打を量産し、15年のドラフト6位で入団した。新人だった昨季はプロ初安打も放ったが1軍には定着できず、わずか10試合の出場に終わった。

 飛躍を狙った2年目の今季は自分の特長を「封印」してオープン戦から安打を量産。ミートポイントを体に近づけて逆方向となる中堅から右翼への打球を意識したからだ。確実性は増す一方、豪快なスイングから放たれる左翼方向への打球は激減。開幕1軍が決まった際は「本当にうれしい」と笑顔を見せつつも「気持ちいいポイントで打ってない。でも1軍に残るためには仕方がない」とも語っていた。迷いは打撃にも影響し、4月下旬に早々に2軍落ち。6月下旬に一度、1軍に上がったが、わずか数日で再び2軍暮らしとなった。

 フルスイングか、確実性か…。2軍でも答えは見つからないまま、8月16日に今季3度目の1軍昇格。背中を押してくれたのは同じ右打者で尊敬する先輩である中田の言葉だった。「色々と周りから言われることもあるだろうけど、自分の軸となるスタイルは貫いた方がいい」。迷いは吹っ切れた。金言をもらった数日後、横尾のバットから豪快な一発が生まれた。

 1メートル77、90キロの丸々とした体型でニックネームは「おにぎり君」。スタンドではお手製の「おにぎりグッズ」を手に応援するファンも増えてきた。今月12日の楽天戦では札幌ドーム初となる2号3ラン、翌13日のロッテ戦では3号ソロを、ともに左翼席のファンに届けた。今後も迷い、壁にぶつかることもあるだろう。「趣味は野球」と言う将来の中軸候補は、全ての経験を糧に成長する。(記者コラム・山田忠範)

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2017年9月16日のニュース